雑きのこ1 雑きのこ2 ナラタケ3 ナメコ4-1 ナメコ4-2 ナメコ5-1 ナメコ5-2 ナメコ6 山釣り紀行TOP
錦繍のブナ林ときのこ、ブナの女神、クマとイワナと仙人、焚き火、表と裏、ソロー「森の生活」、陶淵明・・・ |
|||||||||||||||||||
▲半分以上落葉したブナ林 葉の大半が落葉し、青空が透けて見える こんな秋晴れに恵まれると、林内は明るく、ふかふかの落葉斜面を歩くのが楽しい 全て落葉すれば、林床に当たる風、雨、光ともに最大となる 一般的に、その時がナメコの第二のピークを迎える しかも、倒木に生えたナメコやムキタケを発見しやすい キノコセンサーをフル稼働させながら斜面を駆け上がる |
|||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||
▲ナメコが生えるブナ林全景 上の全景写真から、光、風通し、排水ともに良好なブナ林であることが分かる 一帯は、ナメコの菌が発生しやすい条件に恵まれ、ベストポイントの一つである 斜面に伏したブナの倒木には、毎年ナメコが群生し、数年お世話になっている |
|||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||
森の窪地に倒れたブナには、落葉がたまりやすい 中と右の写真は、窪地の倒木に生えたナメコが落葉で埋もれていた ナメコが落葉に埋もれてしまうと、風、光、排水ともに悪く、ナメコは腐りやすい 残念ながら、ほとんどが劣化していたので採取はパス |
|||||||||||||||||||
▲ムキタケの群生 ムキタケは下から見れば、ヒダは密で美しい 表皮下にはゼラチン層があって、表皮はむきやすい・・・だから「ムキタケ」 倒木の上にも生えるが、特に水分の多い横から下にかけて重なるように生える サワモダシやナメコと並び、大量に採取できる・・・キノコ採りの代表種のひとつ 雨が降った翌日は、大量の水分を含んでいる そのまま採取すれば荷の重さに苦しめられる ブナハリタケと同じく、余分な水分を絞り出すのが採取のポイント かつて秋田の山村では、薄塩で漬けて長期保存していた 冬に取り出して納豆汁に入れると最高の味である・・・今では、冷凍保存、缶詰が一般的である |
|||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||
▲ 傘が開いたナメコの成菌 細い枝木は、一見、群生の規模は小さく見えるが、上、横、 落葉に隠れた下にも群がって生えている・・・フカフカの落葉に座ってのんびり採取する 時折、頭上から落葉が舞い散り、鳥の囀りも聞こえる こうした穏やかなブナ林のキノコ採りは、人生の楽園の一つ |
|||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||
急斜面と緩斜面の境界線に位置する倒木を探すのがポイント 上3枚の写真は、下る途中に生えていたナメコ |
|||||||||||||||||||
斜面に伏したブナの倒木にナメコ幼菌の群生を発見 降り積もった落葉を払い、まずは写真を撮る・・・横と上から見えない下にもビッシリ生えていた 時々、ナメコの傘に光が射し込むと、「炎立つ」ような輝きを放つ ナメコは、まさに「ブナ林の宝石」と呼ぶにふさわしい |
|||||||||||||||||||
▲ブナ林のキノコ採りの図 斜面の傾斜に注目 ナメコは、湿っぽい場所を好むが、同時に排水性も良くなければ生えない 上から雨が降った場合を想像いただきたい 倒木が地面と接している・・・フカフカの落葉に雨水がたまり倒木に適度な湿気を供給する と同時に、この傾斜が余分な雨水を排除してくれる こうした条件を備えた場所に限ってナメコが生える |
|||||||||||||||||||
▲傘が開きかけた極上のナメコ ナメコ採りは、ひたすらブナの風倒木を探すことに尽きるが、 やみくもに歩いても、疲労困憊するだけで当たる確率は低い 過去のデータを持っているかどうかで採取量は決まる しかし、倒木は朽ち果てるのも早い 従って、常に新しい倒木のデータを蓄積していくことも必須である |
|||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||
▲「ブナの女神」との再会 まるで「女神」のような顔をした神々しいブナ 思わず手を合わせて、「母なるブナ」に感謝を捧げたくなる神木である この神木に出会うと、ラッキーな人生になるような気がする |
|||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||
珍しく、サワモダシ沢の倒木にナメコが生えていた 急斜面を下って沢に降り、撮る、採る アップダウンを繰り返しながら、ブナの尾根筋を下る |
|||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||
▲ナメコの大群生 「ブナの女神」と出会ったご利益が、早くも現れた この倒木のナメコは、下側に群生している 何度も眺めているはずの倒木であった 沢から見上げても、対岸の斜面から遠望しても、この群生は死角になって全く見えなかった 「ブナの女神」を経由し、上の斜面から下ってきて初めて発見できた これは「ブナの女神」のご利益としか言いようがない・・・我々の人生も上り坂になれば良いのだが |
|||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||
斜面は垂直に近く、写真を撮るにも、ナメコを切り取るにも大変な難所だった こんな場所にナメコが群生するのも珍しい 上側は幼菌、下側は傘が開いた成菌・・・いずれも旬のナメコであった |
|||||||||||||||||||
清冽な小沢で水を汲み、お湯を沸かして昼食とする 絶景を眺めながら食後のコーヒーを飲む さて、これからどこへ向かうか 対岸は直射日光を受けて、黄葉も一段と美しい ちょっと下り、対岸の小沢を上って、新しいナメコ採り場の開拓に向かう |
|||||||||||||||||||
錦繍のブナ林をゆく | |||||||||||||||||||
北斜面の黄葉は淡くくすんで見えたが、南斜面の黄葉は、一際美しい 一般に黄葉の美しさは、@夜間の冷え込み、A大気の乾燥による地中水分の減少、 B直射日光・紫外線の強さで決まるという つまり、南斜面は直射日光が強いから色鮮やかな黄葉になるのであろう 上の写真は、沢の標高450mから高度約100mほど上った南斜面のブナ林である |
|||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||
▲ブナの倒木に生えたナメコ成菌 ナメコに強い光が当たると、ブナの黄葉のように炎立って見えるから不思議だ 傘の黄金色は、ブナの黄葉と極めて似ていることに気付く ナメコは、まるで「倒木ブナの黄葉」と形容したくなる光景だった |
|||||||||||||||||||
▲巨木に生えたムキタケ 一帯は、ムキタケの菌ばかり・・・仲間は、重くかさばるムキタケに飽きてきたようだ 私は、ナメコを探すべく、湿地帯を抜けて斜面のブナの森に向かった |
|||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||
▲数百年ブナの倒木に、まばらではあるが顔を出したムキタケとナメコ 来年以降に期待できるシグナルだろう 位置と場所を頭にインプットしながら森を歩く |
|||||||||||||||||||
落葉を踏みしめ、錦繍を愛でながら歩いていると、至る所にナメコの気配を感じた 右の写真は、苔むす数百年ブナから顔を出したナメコの幼菌 緑の苔と枯葉が、ナメコの可愛らしさを一層引き立ててくれる カメラ好きには、たまらない風景が続く |
|||||||||||||||||||
黄金色のドレスをまとったブナを見上げては、シャッターを押す 右の写真は、平坦な湿地帯から流れ込む小沢の滝頭 人智を超えた美の世界・・・西日の逆光を浴び、まるで苔生す庭園のように美しい |
|||||||||||||||||||
ブナの極相林は、空間が広く、降り積もった落葉が心地よい 散歩するには、これに勝る森はないであろう さらに、優秀な食菌・ナメコの群生に出会えるからたまらない ナメコが生える倒木は、決まって落葉の斜面に伏している 気難しいナメコを象徴している風景でもある |
|||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||
青空に映える錦繍の美と倒木に目を奪われ、帰るべき小沢を見失ってしまった 気付けば、遥か上流まで遡ってしまった 緩い斜面を下ると、対岸の絶壁から白糸の滝が見えた |
|||||||||||||||||||
▲晩秋の「岩魚」 「イワナは、アユやヤマメより上流にすむ。 深山仙境の渓流に踏み込まないとお目にかかれないので゛谷の精゛ともいわれてきた。 眼光は修行僧のように鋭く、気質はたけだけしい」(「天声人語、自然編」辰濃和男) |
|||||||||||||||||||
▲イワナが棲む深山仙境のテン場 イワナ釣りならいざ知らず、キノコ採りで深山仙境に泊まる者は皆無に等しい だから、いつも静かなキノコ宴会を楽しむことができる しかし、稀に日帰りのキノコ採りの人たちと出会うと、「イワナ釣りか?」と誤解される これには、いつも閉口させられる イワナに生かされてきた人間なら、そんな馬鹿なことはしない 下界の常識と山釣りの常識の落差に、いつも驚かされる |
|||||||||||||||||||
▲寒い晩秋ほど、焚き火の有難さが身に沁みる | ▲釣りバカ・ダマさんは、持参したタコを切る | ||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||
EOSkissX3に三脚を据え、シャッタースピードを8秒にセット シャッターぶれには、ケーブルレリーズRS-60E3を使って撮影する 焚き火のはぜる炎が、花火のように美しい軌跡を描く |
|||||||||||||||||||
ブナの極相林を眺めていると、人間社会の貧しさが透けて見えるような気がする 「どうして僕らはこんなに慌しく、こんなに命を無駄使いして生きねばならないのか・・・ 生活は、諸君が一番富んでいる時に、一番貧しくみえるものだ」(ソロー「森の生活」) 「裏を見せ/表をみせてちる/もみじ」(良寛) どんなものにも表と裏がある 表は富んでいるように見えても、裏は貧しい場合が多い たとえ表は貧しく見えても、裏は富んでいることも少なくない |
|||||||||||||||||||
▲焚き火は、心身ともに暖かくしてくれる 「人間はいつまでも生きていられるわけではない どうして成り行きに任せないのだ/あたふたとどこへ行こうというのだ 富貴は自分の望むところではない/かといって仙人になれるわけでもない 天気の良い日は一人で散歩し/杖を突き立てて草刈をしたり 東の丘に登っては静かにうそぶき/清流の傍らで詩をつくる このまま自然の変化に身をまかせて死んでいこう 与えられた天命を楽しめば、何のためらいがあろうものか」(「帰去来の辞」陶淵明) 深山仙境に棲むイワナの魔力にとりつかれ、北海道から山形まで彷徨い続けた 竿を捨て、キノコ採り専門に歩いて10年・・・目からウロコが落ちた 追い求めていた心の桃源郷は、マタギ発祥の地、わがふるさとAKITAにあった イワナ釣りを始めて31年、山釣り人生25年・・・随分遠回りしたものだと想う |