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2011年5月中旬・・・ブナの新緑、ヤマワサビの楽園を釣る、黄金イワナ、ゴーロ連瀑帯、明るい源流部
5月中旬、やっと内陸部の沢にも新緑の季節がやってきた
予報は雨だったが、旬のヤマワサビを食べたい一心でブナ帯のワサビ沢へ
左足の具合は相変わらず最悪・・・相棒には、「先に行っててくれ」と言うしかない

アップダウンが続く杣道を何度も休みながら歩く
果たして、こんな足でどこまで歩けるだろうか
今回の写真は、雨の予報に備え、一眼レフデジカメは断念・・・ニコンCOOLPIX P90で撮影
▲芽吹きはじめたブナ ▲紫色のキクザキイチゲ ▲白花が咲き始めたヤマワサビ

いつもの入渓点まで、這うような姿勢で、やっと、やっと辿り着く・・・
河原にどっかりと腰を下ろし、痛む左足を休めながら、ゆっくり朝食をとる
沢沿いのコゴミ群落の丈は、かなり伸びて旬を過ぎていた

対岸には、朝露に濡れたエゾエンゴサクの大群落が満開に咲いて美しい
杣道を歩くのと違って、沢沿いを歩けば、雪代のマイナスイオンを一杯に浴びて気分は爽快となる
▲昨日の雨と雪代で増水した渓を釣る ▲真っ黒にサビついたイワナたち

昨夜の雨と雪代で増水した渓は、白泡の渦と化し、ポイントは極端に少ない
さらに昨日は土曜日・・・真新しい釣り人の足跡があった
果たして釣れるのだろうか・・・

そんな不安は、第一投目で解消された
少ないポイントを丹念に探ると、イワナは入れ食い状態で釣れてきた
サイズに不満は残るものの、足の痛さを忘れて、奥へ奥へと足が勝手に動く
▲ヤマワサビの楽園を釣る

飛沫に濡れたショウジョウバカマや紫と白のキクザキイチゲ、
ヤマワサビの白花の群れ、萌黄色の新緑を鑑賞しながら、イワナの魚信を楽しむ
雨の予報は大ハズレ・・・うれしい太陽の光が谷間に降り注ぎはじめた
こうなれば、コンパクトデジカメとは言え、撮影にも力が入る
雪代で増水した流れが渦を巻いている場合、イワナは岩陰の底深くに隠れている

重いオモリで岩陰の底深くを丹念に探ると、イワナは猛然とエサに食らいつく
いずれの顔も真っ黒にサビついていた
▲光煌めく巨岩ゴーロ連瀑帯を釣る

巨岩が積み重なった階段状のゴーロが延々と続く
高度が上がるに連れて、木々の芽吹きは遅く、年間で狭谷に降り注ぐ光は最大となる
光を浴びて煌めく瀑布、苔岩、渓畔林は美の極致に達する
▲刺身サイズのイワナ

いつも尺イワナが潜む巨岩の釜に達する
岩下のポイントは、落下する瀑布で渦巻いている
釜の下流の流れ出しにいるに違いない

下段の岩陰に隠れ、そっと流れに乗せてポイントまで流すと・・・
ガツン・・・と、野生の強い引きが伝わってきた
引きずり込むように寄せ、降り積もった落葉の上に横たわらせて写真を撮る
精悍な面構え、側線より下に鮮やかな橙色の斑点を持つニッコウイワナ
▲延々と続くゴーロの階段を釣り上がる
▲キラキラ輝く清流とイワナ

新緑が萌え出る前は、流れに光が射し込み、水の透明感は最大となる
釣り上げたイワナを岸辺に寄せると、イワナも水もキラキラと輝く
清流の証・イワナを象徴するような被写体となる
▲幽谷の美魚「黄金イワナ」

稀に全身が黄金色に染まった「黄金イワナ」が釣れることがある
イワナの中では、最も美しい個体だ
顔に若干黒サビが残るものの、「美白イワナ」と形容したくなるほど美わしい
側線より上は、鮮明な白い斑点を星屑のように散りばめ
下には橙色の着色斑点、ヒレや腹部は鮮やかな柿色に染まっている
まさに「深山幽谷の美魚」と呼ぶにふさわしい
▲ブナとイワナ・・・まるでブナの木から生まれた「魚付林」のように見える

この沢は、沢筋にサワグルミとブナ、急斜面の花崗岩帯にミズナラの巨木が多い
つまりイワナとヤマワサビ、マイタケの宝庫である
ブナ帯に生きる人々は、早春から晩秋まで、森の恵みを求めて谷の奥へと分け入る
▲ヤマワサビとイワナ
▲芽吹きが始まったばかりの源流部

標高約850mまで釣り上がり、竿を納める
谷全体に光のシャワーが降り注ぎ、雪代で沸き返るマイナスイオンもすこぶる高い
明るい林床には、紫と白のキクザキイチケゲの大群落が満開に咲き誇っていた
▲濃紫色のキクザキイチゲ ▲白と紫が混生したイチゲ群落
▲ワサビ畑で昼食・・・イワナの刺身をしようとしたが、醤油を忘れてきたので断念 ▲白い花を咲かせた旬のワサビ・・・根は刺身用に3本、醤油漬け用は根を残しナイフで刈り採る ▲春の恵み・ヒラタケ・・・山菜と旬の春キノコを入れた味噌汁は絶品だ
▲真っ白な美人ブナ ▲沢筋に広がるワサビ田 ▲美しいクロモジの葉と花
▲萌黄色に燃え上がるブナの新緑美

イワナを釣りながら歩けば、不思議なことに左足の痛みはほとんど感じない
しかし、アップダウンが続く杣道を歩こうとすれば、途端に左足が悲鳴を上げる
苦痛に耐え、何度も腰を下ろし、休みを繰り返しながら歩く

源流部は、芽吹きが始まったばかりだったが、下がるに連れて萌黄色の森へと変化
その新緑美に元気をもらいながら、倒れこむように車止めに着く

一日中、悪戦苦闘した汗を風呂で流し、
イワナの刺身とヤマワサビ、唐揚げ、塩焼き、ホンナ&シドケのおひたしで熱燗を飲む
ブナ帯の恵みに生きる力、元気を授かる・・・山に感謝、イワナに感謝、山菜&キノコに感謝

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