残雪の谷、今年初の尺イワナ、横たわるカモシカ、トリカブト食中毒事故、新種のメダカ発見・・・ |
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今年の冬は、大雪に加え、寒さが厳しかった 4月に入っても山々は真っ白で、雪が降る日も少なくなかった さらに、秋田市で最大瞬間風速40mを超す爆弾低気圧が日本列島を襲った やっと春らしい陽気に恵まれた4月中旬、待ちに待ったイワナの初釣りへ 雪解けが最も早い小河川にもかかわらず、雪は深く、まるで渓流解禁日のような風景が広がっていた |
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ラッキーなことに、イワナ釣りで入渓するのは、我々が一番乗り 故に、刺身サイズの良型イワナから最大31cmの尺イワナが釣れた また、不思議な光景に出くわした・・・生きてはいるが、川岸に横たわるカモシカに遭遇! |
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林道をわずか2kmほど入ると、斜面崩落で車止め 本日の釣りパーティは3名・・・今だ白い雪に覆われた山々を眺めながら歩く 滝の轟音が響き渡る谷底を見下ろす・・・その音は最後の堰堤だった 堰堤上流の小沢を駆け下り、待望のイワナ釣り場に降り立つ |
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▲日当たりの良い林道脇に生えたバッケ | ||||||||||||||
▲まだツボミ状態のカタクリ | ▲バッコヤナギ | |||||||||||||
谷の両サイドとも雪がまだら状に残り、山菜、草花は皆無・・・ 渓流の流れは雪代で沸き返り、渡渉に難渋した 安全を期し、何度かスクラム渡渉を繰り返し上流に釣り上がる 緩流帯でも水深が浅ければ全く反応なし イワナは、越冬していた深場からほとんど移動していなかった つまり、本日のポイントは、渓流解禁日と同じく大場所に限られていた |
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イワナが隠れていそうなエゴや底石のある深場に振り込む 餌を底深く沈め、イワナの眼の前にもっていくと・・・ ツンツンとイワナ特有の魚信が竿を握る手に伝わってきた 糸を張って挑発するも、なかなか走らない・・・ イワナは、まだ春の訪れを感じていないのか、動きが極めて鈍い 焦らず走るまで待つ・・・やっと隠れ穴に向かって走った 一気に抜きあげ、残雪の上に置いて初物イワナを撮る 白い雪に、イワナの黒いサビ色が際立つ 腹部の橙色と側線より下の着色斑点が鮮やかなニッコウイワナに笑みがこぼれる |
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残雪には獣の足跡しかなく、釣り人の痕跡は皆無 入渓一番乗りのご利益に酔いしれながら釣り上がる 谷に射し込む光に、雪もイワナもキラキラ輝く |
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▲尺イワナが釣れたカーブ地点の深場 左の緩流帯の深場に振り込む いつもより強い引きが伝わってきた・・・ほどなく竿先は弓なりになる ズシリと重い・・・無理をせず、水面に浮きあがらせてから、慎重に岸に寄せる |
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左手で握りしめると、野生の鼓動が全身を貫く 河原に横たえ、ズームアップで全身を撮る 魚体の割りに顔と口がでかく、鋭い歯が印象的なオスイワナ |
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光の加減で斑点の色が不鮮明だが、右の写真の通り橙色の着色斑点をもつニッコウイワナだった 計測すれば31cm・・・初釣りで尺イワナとはラッキー 山の神様の授かり物に感謝!感謝! |
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S字状に曲がりくねったゴルジュ帯 淵は深く、沢通しには通過できない・・・この川の最大の難所だ 慌てて巻かずに、まずは湯を沸かし、コーヒーを飲んで休憩とする 両岸の斜面を眺めながら高巻きルートを探す・・・右手の左岸が良さそうだ 斜面にとりつくと、残雪にカモシカが歩いた足跡が鮮明に残っていた 獣は最も安全なコースを辿るもの・・・その跡を忠実に辿ると楽チンだった |
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ゴルジュ帯を抜けると、巨岩が点在するダイナミックな渓相となる 深い岩陰からイワナを抜きあげ、撮影を繰り返しながら釣り上がる |
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ゴギのように、頭部から背中にかけて虫食い状の斑紋が際立つ 側線より上の白い斑点は、大きさが不規則で長楕円形に乱れている 加えて、側線前後の橙色の着色斑点、腹部も鮮やかな柿色に染まり、強烈な個性を放つイワナだ |
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巨岩が累積した階段状のゴーロ連瀑帯 絵になる場所だが、イワナが越冬するには不適で魚影は薄い 足早にゴーロの階段を駆け上がる |
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この川の中間地点・・・いつもの入渓地点まで来ると両岸の雪も深くなる 山菜、山野草は雪の下に埋もれているから、イワナに専念するしかない 三人は釣り天狗と化して釣り上がる |
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▲真っ黒にサビついた早春イワナ | ||||||||||||||
今回は、イワナに針を3回ほど食われてしまった 淵の巻き込みに送り込んだ仕掛けが一直線になった瞬間に、強い当たりがあると、 反射的に強合わせをしてしまう悪い癖が出た・・・0.8号の太いハリスでも簡単に切れてしまう イワナのサイズは、9寸以上はあるだろう 逃がした魚は大きいというが、姿を見ていないだけに妄想は膨らむばかりだ |
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▲河原に横たわっていたカモシカにギョッとする カメラを首にぶら下げ、先行する仲間を追って川岸を歩いている時だった 何やら足元で動く気配を感じ、右後方を振り返ると、 大きなカモシカが横たわっているではないか 可愛らしい眼はパッチリ開き、その下に皮膚病のような白く腫れた跡があった 毛並み、体格共に良く、外見上は病気で衰弱しているようには見えない しかし、横たわったままほとんど動かない |
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近付いて観察していると、眼や鼻、体が小刻みに動く・・・まだ生きている 突然、何かの病魔に襲われ歩けなくなったのだろう この症状から、カモシカの病名を知っている方がいれば、ぜひメールでお知らせ願います |
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▲雪深い上流部 | ▲顔とエラが真っ黒にサビついたイワナ | |||||||||||||
▲爆弾低気圧の被害・・・根元から折れたブナ(奥の根元の折れ口が真新しい) | ||||||||||||||
▲帰路は、深い雪に覆われた林道を歩く 午後2時には竿を畳み、いつもの入渓地点の小沢を上る 林道に躍り出たものの・・・深い雪に唖然 緩んだ雪に足をとられると、体力の消耗は倍以上・・・これにはホトホトまいった |
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雪が解けたばかりの路肩には、ツボミ状の旬のバッケが生えていた 手でひねりながら採る この早春の味は、天ぷら、刻んで味噌汁、バッケ味噌などで味わう |
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▲猛毒・トリカブトの若葉 ▽トリカブト食中毒事故、2人死亡(2012年4月8日) 猛毒のトリカブトをニリンソウと間違えて食べ、函館市の父子2人が死亡した食中毒事故 この二種は、生えている場所が同じで、かつ早春の若葉の形や色がそっくり 特に根の毒性が強いが全草が猛毒 トリカブトの花や花粉、蜜まで危険と言われるほどの猛毒である 誤食すれば、舌先がしびれ、ひどい嘔吐、痙攣に襲われ、強烈な麻痺が全身に広がって呼吸が止まる 古来より本草学の世界では、トリカブトの研究で命を落とす例は数限りなくあったという 日本では、東大教授の白井光太郎博士 トリカブトは、猛毒とは言え微量であれば強壮薬、強心剤、興奮剤になるという その減毒加工を行って、不老長寿の薬にしようと、慎重に実験したが、ついに他界した トリカブト博士でも死亡するほどの猛毒・・・ 従って、紛らわしいニリンソウは、草花として鑑賞するだけにとどめるべきだと思う |
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▲初物イワナの塩焼き 半年間怠けた体で、一日中残雪の春山を歩けば、足腰が痛くなるほど疲労困憊する けれども、ひと風呂浴びて、初物イワナの刺身、塩焼きを肴に一杯飲めば極楽、極楽! それにしても昨年の東日本大震災以来、度重なる余震、ゲリラ豪雨、大雪、大規模な雪崩、 春先の大雨と雪解けによる大洪水、爆弾低気圧・・・想定外(?)の災いが続いている 江戸時代の災害記録によると、大災害は2年に1度、米の不作と凶作は共に4年に1度 飢饉は7年に1度発生していた つまり、北東北は、特に冷害や干ばつによる凶作・飢饉常習地帯であった それ故に、無病息災と五穀豊穣を祈る伝統芸能の宝庫 自然の災いが続いている今こそ、「伝統文化の力で元気に!」と思う |
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参考:新種のメダカ発見!・・・「オリジアス・サカイズミ」 | ||||||||||||||
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BE-PAL5月号「北日本で発見された新種のメダカ大公開」によると・・・ 日本のメダカは、1983年の新潟大学・酒泉教授による研究で、分子遺伝学的には北日本集団と南日本集団に大別されることが示されていた。昨年末、近畿大学の朝井俊亘さんらの研究グループによって、秋田県を含む北日本集団が新種であると、魚類学専門誌に発表された。 新種の学名は、酒泉教授の名を入れ、「オリジアス・サカイズミ」と名付けられた。日常使う標準和名はまだないが、近々発表されるという。大いに期待したい。 従来のメダカ(南日本集団:オリジアス・ラティペス)との外見的な違い @オスの背びれの切れ込みが小さい A鱗を網目状に縁どる黒い色素がある B体側の後半に不規則な黒斑がある C体側に銀色の鱗がたくさんある 両者の写真を比較すると、新種の体色は全体的に黒っぽいのが最大の特徴のように思う 天然状態で生息する新種のメダカを観察するには、秋田県三種町のジュンサイ沼が最適である とにかく水の透明度が抜群で、群れるメダカの数も驚くほど多い 今年の初夏は、「ジュンサイ摘み取り体験&新種メダカ観察ツアー」が面白そう |