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大群生その1〜4、大爆発の序章、ムキタケ群生、ナメコ大豊作、プロの技、仕事モード、後処理、ナメコ料理と薬効
遅ればせながらナメコ&ムキタケが真っ盛りとなった
朝夕の厳しい冷え込み、連日の雨・・・
加えて、すっかり落葉したブナ林は、キノコ木に適度な光が当ったせいだろうか

天然のキノコ採りは、狙ったキノコのピークに当ることが最も重要なポイント
今回は、まさにそのベストタイミングに当たった
例年より二週間も遅れた想定外のナメコ大豊作・・・

そんなナメコの山に遭遇すれば、誰だって狂喜乱舞するに違いない
▲落葉したブナ林 ▲ブナの倒木に生えたナメコ

珍しく週末が晴れとなった2012年11月11日(日)、いつもの相棒二人とブナ林へ
車止めに着いたのは、まだ真っ暗な5時45分頃・・・
早くも一台の車が止まっていた・・・車の中を覗くと誰もいない

何とこの暗闇の中を出掛けたようだ
我々は、しばし車の中で明るくなるの待つ
ほどなく軽のワゴン車がやってきた

皆さん、好天に誘われて今年最後のナメコ&ムキタケ採りに勇んでいるようだ
先ほど着いたナメコマンは、急ぎ準備を終えると薄暗い中、奥地へと向かっていった
我々3人のナメコパーティは、明るくなった6時過ぎに車止めを出発
ナラタケは完全に終わったので、余所見をせずにひたすら奥地のブナ林をめざす
先行したナメコマンの足跡がどこまでも続いており、どうも同じ奥地のブナ林をめざしているようだ

いつものナメコルートの起点に着くと、ナメコ大爆発の序章が至る所に見られた
朽ちた埋もれ木にも、傘が開いたナメコの塊があった
前回採ったブナの風倒木には、二度目に発生したナメコの幼菌〜成菌が一列縦隊で生えていた

こんな時に限って、私の装備は不十分であった
ナメコのピークは終わったと思い、ザックは35リットルの小さなザックに変更していた
さらに、ナメコ採りに欠かせない小さなザルを忘れてしまった

この小さなザルがあるとないとでは、採取に雲泥の差が出る
途中からK相棒は、山の斜面を真っ直ぐに登った
T相棒と私は、左の谷を横断し右岸の斜面のブナの倒木方向に向かった
ナメコが大群生するブナの倒木・・・今では朽ち果て、ほとんど生えていない

代わりにムキタケが目立つようになった
ふと、ブナの倒木の真下を覗くと・・・あった、傘が開きかけたナメコ(上右の写真)が群生していた
こういう時、ナイフで切り落としたナメコを小さなザルで受ければ、効率的に採取できる

その小ザルを忘れたので、やむなく手で受け止めながら採取する
株ごと切り取ったナメコは、当然手からはみ出し、零れ落ちてしまう
その際、地面に落ちたナメコは、泥や落葉で汚れてしまうので後処理が大変だ

つまりナメコ採りには、ナイフと小さなザルが必携品だ
右手の沢のかなり上の斜面でナメコ採りをしている人が見えた
先ほど別れたK相棒と思い声を掛けた
ところが、聞こえないのか返答がない

右岸の倒木は、先行したナメコマンに採られた後だった
やむなく、沢沿いの斜面を上る
青い雨合羽を着たK相棒は、まだ無言でナメコ採りに夢中のようだ

笛を吹いても、「お〜い」と声を張り上げても反応はない
ただ、ただ夢中でナメコを採っていた
不思議に思い近付くと・・・人違いで先行していたナメコマンだった

「いや〜、仲間かと思ったら違った・・・どうも」
と声をかけると、ニヤリと笑った
驚いたことに・・・ナメコマンは、採り切れないほどのナメコの山に埋もれていた

これがナメコ大爆発の序章であった
▲ナメコ大群生その1

ほどなくK相棒がナメコの山を見つけたと、我々を呼びに来た
斜面を横にトラバースしながら下がった
ナメコの山は、苔生すブナの倒木を覆い尽くしていた

上部は、傘が開いたナメコの成菌
下部は、傘が開く前の幼菌・・・実に壮観な眺めだった
母なる森ブナ・・・ブナ帯の森の恵みの凄さ、美しさに見惚れてしまった

早速二人は、コダシからザルを取り出す
幼菌の群れをナイフで切り取り、ザルで受け取る
ザルが一杯になると、買い物袋に移し替える

こうすれば、ナメコを地面に落とすことなく効率的に採取できる
▲成菌と幼菌のオンパレード
上部の成菌は、傘が波打つほど開いているが、傘裏はクリーム色の旬であった
幼菌は二人に任せて、私はボリュームのある成菌を切り採りビニール袋に入れた
あっという間に袋が満杯になった

先ほどのナメコマンのように単独ならば、こうした倒木を二ヶ所も見つければ背負いきれないだろう
まさにナメコフィーバーの幕開けであった
▲ナメコの幼菌 ▲ナメコ成菌、下に幼菌が
▲ムキタケ大群生その2

大きなトチノキの倒木には、ムキタケが満開に生えていた
これまでムキタケは疎らであったが、やっとピークになったようだ
よく似ている猛毒・ツキヨタケは、ほぼ100%腐っていた

「ツキヨタケが終わると、ムキタケが生える」との格言は、異常な年でも変わらない
ムキタケは、大きく重いキノコだ
だから、一袋に半分ほど採取するにとどめた
秋田では、越冬用のキノコとして大量に採取できるムキタケの人気は高い
▲立ち枯れのブナの幹に着生したウスヒラタケ
香りが高く、味に癖がない
肉質がやわらかく、歯切れが良いのが特徴

◆料理・・・味噌汁、鍋物の具、炒め物、煮物など
▲ナメコ大群生その3-1

この大群生は、とても一枚の写真では切り取れないほど巨大であった
辺りを見回しても、先ほど先行していたナメコマンの痕跡はなく、姿も見えなくなった
恐らく、背負いきれないほど採って下ったに違いない
▲傘が開いた成菌を下から撮る・・・傘裏はクリーム色で美しい
▲大群生その3-2

こちらは傘が開きかけた極上のナメコ
倒木の上も横もナメコで覆い尽くされていた
▲大群生その3-3

同じ倒木の反対側にもナメコが群生していた
群生3-1はT相棒、群生3-2はK相棒、群生3-3は私と分担して採取した
もちろん、この一ヶ所で全員が袋満杯に採取した

今日の予定は、ここから奥地が本命であった
けれども、想定外の大豊作・・・これ以上奥地を探れば背負いきれないことは明らか
これまでこんなに手前で引き帰した記憶はない

つまり、今回のナメコは、これまで経験したことがないほどの大豊作であった
鮮やかな赤褐色の群れは、一面ヌメリ輝き、一際美しい
まるで倒木全体がナメコの群れで黄葉しているようにも見える
すっかり落葉したブナ林は、いつになく明るい
まるで大豊作を祝うかのように太陽の光が燦々と降り注ぐ
ナメコ木のほとんど全てに、旬のナメコが群生していた

だから、こんな楽なナメコ採りも記憶にない
おまけに落葉したブナ林は、遠くまで見通しが効きナメコを発見しやすい
今日ブナ林に入ったキノコ採りは、全員がラッキー・・・ザック満杯に採ったことだろう
▲これから期待できるマメも・・・

今年は、雪降る頃のナメコ、ムキタケ、ヒラタケ、ユキノシタを撮るには絶好の年かもしれない
▲ホダ木栽培のような天然ナメコ
▲ナメコ&ムキタケの森

穏やかな緩斜面を好むブナ林・・・
その森を代表するキノコは、夏はトンビマイタケ
秋はナラタケ、ブナハリタケ、晩秋はナメコ、ムキタケである

一般にキノコ図鑑によると、「ブナ・ミズナラ林」のキノコとして掲載されている
しかし、舞茸が生えるミズナラ林は、険谷の崖地に多く、ナメコの山とは地形が異なる
つまり、舞茸山は、ナメコが乏しい山である

逆にナメコの山は、舞茸が乏しい
▲ムキタケ

表皮下にはゼラチン層があって、表皮はむきやすい
肉は厚く、白色で、特有のすべっこい舌ざわりと癖のないソフトな味
秋田の山村では、越冬用の漬けキノコを代表するキノコである

◆料理・・・納豆汁、シチュー、鍋物、すき焼き、豚バラ煮、甘露煮、トマトとナスのグラタンなど
▲ブナシメジの群生

ブナシメジは、疎らに生える場合が多く、こんなに群生するのは珍しい
倒木の下など日陰に生えると、傘が純白に近い色になる
この食用キノコは、私たちのキノコ採りの対象外である

◆料理・・・味噌汁、天ぷら、和え物、煮物、炒め物、焼き物、炊き込みご飯など
▲傘が開きかけのナメコとマメ・・・今後も期待できるサイン
▲埋もれ木に芽を出したナメコ幼菌
▲ナメコ大群生その4-1

いつもお世話になっているブナの倒木は、戻りルートの最終のナメコ木
予想どおりナメコのピークであった
ザックは、既にナメコで満杯であったが、それでも採る、採る・・・
これを称して「欲たれ」とか、「根こそぎ採る」とか、とかく批判したくなる人もいるだろう
しかし、キノコは採れば採るほど生えてくる

もし、採らなければ、倒木は死滅菌に覆われ二番手のキノコは生えづらくなる
また、倒木周辺の草木を刈り払い、光と通気性を良くすればキノコも生えやすくなる
つまり、人の手を加えると森の恵みは減るのではなく、むしろ増えるのである

それが素人考えでは思いもつかない「プロの技」である
▲大群生その4-2・・・埋もれ木に生えた成菌 ▲大群生その4-3・・・倒木の裏側に生えた成菌
▲大群生その4-4・・・ナメコ幼菌の群れ

ここでもビニール袋満杯に採った
35リットルのザックは、ナメコがギュウギュウ詰めで、他に入る余地はなかった
暑いので脱いだ雨具やカメラは、袋に入れてザックの外に吊るすしかなかった

ナメコ大豊作で、かつ採るタイミングがベスト・・・そんなチャンスは滅多にあるものではない
その少ないチャンスを存分に楽しむには、遊びの次元を超えて「仕事モード」に切り替えることだ
それにしても・・・ブナの森の恵みの凄まじさには驚くほかない
いつものことだが・・・採るのはいいが後処理が大変だ
ただ今回は大豊作につき、採る時間は短時間で済んだお蔭で家に帰るのが二時間ほど早かった
まずは一回目の荒洗いで幼菌と成菌に選別する

二度目の洗いで細かい泥や枯葉、苔類を完全に洗い落とす
それでも幼菌の傘と茎の隙間に入ったゴミなどはとれない物もある
それは別のザルに入れる

最後に頑固な汚れのナメコは、一つ一つ流水で洗い流せば綺麗にとれる
幼菌は主に缶詰加工、成菌はSサイズのフリーザーパックに入れ冷凍保存へ
▲晩秋ナメコの山

ナメコは、生え方が美しく被写体としても一級品
大きな群生に出会うことも多く、採るのもすこぶる楽しい
加えてヌメリたっぷりのナメコ料理は、日本の秋を代表する味である

特に秋田の郷土料理では、納豆汁、いものこ汁、稲庭うどんの具として欠かせない
▲ナメコの醤油煮(菊+大根おろしで和える) ▲ナメコの松前漬け

料理・・・ナメコ汁、納豆汁、いものこ汁、菊と大根おろし和え、松前漬け、開きナメコの網焼き、開きナメコの天ぷら、マヨネーズ和え、卵とじ、三杯酢、ワサビ醤油、鍋物、麺類の具、佃煮など

薬効・・・胃潰瘍・胃腸病、インフルエンザ・風邪、疲労回復、動脈硬化、アレルギー疾患、心臓疾患、老化、美肌、関節痛、肌荒れ、二日酔い、うつ病、不眠症、発ガン物質・コレステロールの吸着排出、ダイエットなどに効果

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