釣れないイワナ釣り、残雪とバッケ、カモシカの足跡、根開き、カタクリ、ギョウジャニンニク、初物イワナの刺身・・・ |
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今年の初釣りは、いつもと違っていた。海岸から近い所の雪解けは例年より早いが、源流部の残雪は意外に多い。晴れなのに最高気温は8度未満と極端に寒い。イワナの食いも疑問符がつくほど悪かった。冬眠から覚めたクマの足跡を探したが皆無・・・寒さのぶり返しでまだ穴から出ないのだろうか。 | |||||||
雪がすっかり解けた林道を歩き、沢に降り立ったのは7時半頃。期待を胸に竿を振るも音沙汰なし。風は極端に冷たく、手がかじかむほど寒かった。「おかしい、おかしい・・・」と呟きながら足早に上流へ。 | |||||||
▲ヤマワサビは、まだ小さく採るには×。 | |||||||
▲残雪とバッケ 沢筋でカタクリやコゴミ、ヤマワサビ、エノキタケを採れるのではと期待したが、雪が深くバッケ以外食用になるものは皆無だった。 |
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初物イワナは、釣り始めてから何と1時間余り過ぎた頃である。先行者がいるのではないか・・・と疑いたくなるほど、イワナの食いは悪かった。 | |||||||
奥に入るにつれて雪は深くなる。相棒の竿は、相変わらず沈黙したまま。深い淵には、イワナが見えるのだが全く食い付く気配がない。イワナに馬鹿にされた釣り師の時間が延々と続く。 | |||||||
釣り開始から2時間経過した頃、何とか刺身サイズをゲット。真っ黒にサビついているが、精悍な面構えに満足、満足。それにしても1時間に1匹とは・・・信じがたいほど釣れない。 | |||||||
上二又に達したのは午前10時・・・いつもなら昼頃になるのだが、釣れないからやたら早い。私の釣果は3匹、相棒は、何とゼロ。経験したことのない貧果に二人ともガックリ。湯を沸かし、コーヒーを飲みながらしばし休憩。気を取り直して源流部へ。 | |||||||
源流部は、予想以上に雪が深い。ポイントにエサを振り込むと、大量の落葉が流れてきた。斜面を見上げると・・・山から吹き下ろす寒風は凄まじく、落葉が舞い上がっては、小沢に降り注いでいた。ほどなく、相棒にも初物イワナがヒットし、笑顔が戻った。しかし、後がなかなか続かない。 | |||||||
雪が深い源流部にしては、サビが少なく美しいイワナ・・・ 腹部は鮮やかな橙色に染まり、淡い着色斑点のあるニッコウイワナ。 |
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▲最後に、全身黄色味を帯びた黄金イワナがヒット | |||||||
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▲早春を象徴する風景・・・ブナの根周り穴、根開き 上二又に戻り、携帯用のガスバーナーでお湯を沸かして昼食。ミニカップラーメンを汁に、昨晩握ったおにぎり2個をほおばる。食後にコーヒーを飲みながら、バナナ、甘納豆でエネルギーを満タンに補填する。しかし・・・ |
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貧果に帰路の足取りは重い。おまけに雪も緩み、ぬかるんでは深い雪に足をとられ、エネルギーの消耗が激しい。草花も山菜も皆無・・・ただひたすら車止めを目指して歩くのみ。だから疲れることこの上ない。結果論だが、二人は「今回、T相棒を誘わなくて良かった」としみじみ思った。 | |||||||
▲芽吹く気配が感じられないブナ | ▲一輪だけ咲いていたイワウチワ | ||||||
林道を下る途中、軽トラの中から対岸の屹立する岩場を望遠鏡で眺めている猟師がいた。 荷台には猟犬がおとなしく乗っていた。 猟師は、車の窓を開けて「釣れだがぁ」と聞いてきた。 「いや、釣れにゃがった」と苦笑いしながら答えた。 「クマ、いだすが」と聞くと、「いや、見えにゃなぁ」 やっぱりクマは、まだ冬眠から冷めていないのだろうか。 |
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車で下る途中、右手の斜面にカタクリの群落が見えた。ツボミ状態の若芽が旬だが、花は満開で旬を逸してしまった。食べ過ぎると下痢するので、採取はほどほどにとどめる。 | |||||||
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▲2014初物イワナの塩焼き | |||||||
▲2014初物イワナの刺身 | |||||||
釣れない釣りの一日・・・諦め切れずにイワナを追い求める余り、自分の体力の限界を超えるほど歩き過ぎてしまった。家路に着くと、足腰が痛い。まずは風呂に入って、一日の汗を流す。さっぱりした所で、久々に、イワナの刺身をつくった。 イワナの皮を剥ぐ→三枚におろす→身をブチ切りにし、活け造り風に盛り付ける。飾りにカタクリの花を二輪添える。冷たい清流に生きるイワナは、身が引き締まり、コリ、コリした食感が絶品である。釣り馬鹿の晩酌は、これに勝る肴なし。 不思議なことに、釣りに悪戦苦闘した分だけ美味さは格別であった。これはどうも・・・味覚は、舌だけでなく、心にもあるらしい。 |