山釣り紀行TOP

 2015年4月12日(日)、前回のリベンジを果たすべく、再度イワナ谷に向かった。予想どおり、雪代のピークは終わり、イワナの食いは格段にアップ・・・今年初の尺イワナも釣れた。帰路、早春の山菜・・・パッケのツボミとギョウジャニンニクを少々摘む。毎年のことだが、冬の間鈍った体は、春の命をありがたくいただくことで、心身ともに蘇ることができる。その効用は、歳を重ねれば重ねるほど大きい。
 日曜日とあって、先行者が1台、後続に1台が後を追ってきた。先行者は橋の傍らに車を停めていたので、下流から釣り上がっているようだ。車止めで身支度をしていると、後続の単独釣り師が足早に上流に向かって歩いて行った。我々二人は、のんびり歩き、単独釣り師の邪魔にならない所まで歩くことにする。

 ブナの芽も膨らみ、暖かい斜面のブナは既に開花を始めていた。海岸部では、カタクリやキクザキイチゲが終わりに近づき、代わってニリンソウが咲き始めていた。目まぐるしく変化する風景は、春の足跡の速さを実感させてくれる。30分弱歩くと、足跡が消えた。単独釣り師は、この辺で沢に降りたようだ。
 我々は、1時間ほど歩き、小沢を下った。ブナの根開きも、1週間前よりかなり進み、土が顔を覗かせていた。1週間前の雪代の恐ろしさは完全に姿を消し、いつもの透き通った流れに戻っていた。絶好のイワナ釣り日和であった。
 前回の残りのミミズをチョン掛けにして、流れの緩い早春のポイントに振り込む。すぐさま、あのイワナ独特のアタリが竿を握る右手に伝わってきた。竿先は弓なりになっているが、まだミミズの端を咥えているだけ・・・ここで合わせのタイミングが早すぎると外す確率が高い。

 竿をゆっくり上下動させ、イワナの食いを誘う。イワナは、エサを逃すまいと呑み込み、上流に走る。それを逃さず合わせる。エサ釣りは、水中のイワナの動きを、手の感覚と目印の動きを見るだけで、手に取るように分かる所がオモシロイ。橙色の斑点と赤腹が印象的なイワナである。
 大場所のポイントで掛かった尺イワナ・・・計測すると30.5cmであった。斑点は、全て無着色斑点のアメマス系で、顔は真っ黒にサビついていた。天然イワナを象徴するように尾ビレは大きく、上下の縁に鮮やかな朱線が見える。
 好天に恵まれたものの、気温は異常に低い。手袋をしていても、手がかじかみ、針にエサを刺すのに難渋した。さらに、流れに足を入れると、フェルト足袋でも足の感覚がなくなるほど冷たい。これでイワナが釣れなければ、泣きっ面にハチだったが・・・
 幸い、ポイントごとに、ほぼ入れ食いで釣れてくる。一方、相棒は、合わせのタイミングが早すぎるのか・・・「良い型のイワナ、落どしだぁ〜」と悔しそうに呟く場面が多かった。仕掛けを見ると、本流にしては仕掛けの長さが短すぎ、かつ針とオモリの位置が離れすぎていて、エサの遊びが大きい感じがした。 
 早春のイワナは、盛期のようにエサを果敢に追わない。加えて流れも比較的速い。そんな場合は、針とオモリの間隔をできるだけ小さくして、エサの遊びを少なくするのがコツ。こうすれば、食いついたイワナの微妙な動きをとりやすく、合わせも格段に楽である。
▲良型のニッコウイワナ
 10時過ぎ、大福とパンで疲労回復した後、二手に分かれる。集合時間は、12時。源流部は、相変わらず雪が多い。前回釣り上げたポイントでは、アタリが皆無。本来なら、釣られたポイントには、次なるイワナが入ってくるはずだが・・・それがないということは、イワナの魚影が薄い証左であろう。
 前回、増水でポイントにならなかった場所で何とかイワナがヒット。しかし、全体的に小物が多かった。まるで種沢に変化したような印象を受けた。昨年の洪水の凄まじさは、林道の崩壊や沢の流れの変化で容易に推察できる。その際、源流部のイワナが下流に流されたのか、あるいは安全な下流に避難したのだろうか。

 二又でのんびり昼食をとる。イワナの鮮度を保つために、クーラー製ビグに雪をたっぷり入れて、12時半、車止めに向かって出発。
 ブナの巨木が林立する尾根を登り、崩壊林道に出る。幸い、林道の雪はほとんど解けてなくなっていた。快適に林道を下る。
 わずかに残る残雪には、カモシカの足跡がたくさんあった。雪が解けたばかりの土から、ちょうど食べ頃のパッケが顔を出していたので、初物を採取する。パッケは、何と言ってもパッケ味噌・・・春のほろ苦さと独特の香りが美味い
▲尾状の花序が大分膨らんだバッコヤナギ ▲オオバクロモジの花
▲西日に輝くカタクリ・・・カタクリとキクザキイチゲは、花がほとんど散り始めていた。
▲スミレサイシン ▲ニリンソウ
 上二又から歩くこと2時間余り、車止めに着く。帰路、ギョウジャニンニクを少し採る。再び車で下ると、釣り上げたイワナにメジャーを当てて計測している釣り人がいた。車窓から覗きこむと、尺イワナを釣り上げたらしい。雪解けが最も早い日本海側の小河川は、雪代が終盤にさしかかり、イワナは確実に活性化している。今年も、楽しい楽しい山釣りの季節がかえってきた。

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