山釣り紀行TOP

 9月7日〜11日、台風18号及び台風17号の東風がぶつかることで南北に連なる雨雲が継続して発生。今までに経験したことのない大雨が降り続き、堤防が決壊するなど、日本列島に甚大な被害をもたらした。そんな最中、9月11日〜13日、今年最後の山釣りは、比較的影響の少なかった白神山地の日本海側に流れ込むイワナ谷に向かった。

 出発する前夜から雨が降り続き最悪の状態が続いたが、幸い早朝には止んだ。中止するか否かは、現場を見て判断することにし、とりあえず北へと向かった。幸い、目的のイワナ谷は、ほとんど雨の影響はなく、平水状態であった。(写真:二日目の朝、濁流と化した源流部)
▲ツリフネソウ ▲キツリフネ
▲ヌスビトハギ

 林道は途中で崩壊・・・車をバックさせて、ちょっとした広場に駐車。今回のパーティは3名と少ないので、荷はいつもより重い。林道沿いに、ツリフネソウやキツリフネは満開、ヌスビトハギの花はほぼ終わって実が盗人の足跡のように連なっていた。杣道沿いには、ドクベニタケやスギヒラタケなどの毒キノコ類が至る所に生えていた。いよいよ北国の渓流にも足早に秋がやってきたことを実感させてくれる。
 あちこち崩壊した杣道、猛烈なヤブと化した竹藪、崩壊が進む急斜面を際どく辿りながら5時間もかかってやっと源流のテン場に辿り着く。テントとブルーシートを張り、焚き火用の薪を準備してから釣り開始。渇水状態だが、谷は毛バリが全く見えないほど暗かった。やむなく、毛バリからエサ釣りに切り替えた。
 今晩のオカズを順調に釣りながら進む。上の写真は、ダマさんがイワナを釣り上げる瞬間である。
▲2時間弱で、十分過ぎるほど釣れた。山の神様からの恵みに感謝、感謝。
▲良型3尾は刺身に ▲卵と白子は、酢醤油に漬け込む

 小雨だが、雨は相変わらず降り続いていた。久々のイワナ料理を肴に熱燗を飲む。雨の中、濡れた木に火を点けるのは意外に難しい。結局、焚き火は失敗・・・明日にお預けをして、シュラフに潜り込む。秋なのに全然寒くない。雨は一晩中降り続き、雨と滝と流れの轟音に悩まされながら眠る。
 朝起きると、谷は濁流と化していた。これじゃ釣りどころではない。朝食を済ませた後、とりあえず焚き火に再チャレンジ。いきなり濡れた木に火を点けようとしても失敗するだけ。基本に立ち返って、まず林床に落ちている枯れ木の小枝を大量に集める。
 細い小枝を束にして積み上げ、着火剤で点火。濡れた小枝の束からモクモクと煙が立ち上がる。構わず放っておくと、火が点く。順次、細いものから太いものへと積み上げ、十分な火種を作ったところで太い木を積み上げる。何事も手を抜かずにやれば成功する。昨日の失敗がウソのように、本命の太い木に火が点いた。悪天候の時ほど、焚き火の有難さが身に沁みる。
 濁流がまだ収まってはいないが・・・シバちゃんがミミズをエサにわずかな淀みを狙ってイワナを釣る。丸々太った29cmのイワナを釣り上げ、得意満面の笑顔でポーズ。
▲29cmの黄金系イワナ
 午前中は、濁流が収まるのを待つ。昼近くになると濁流が消え、笹濁り状態に。昼食を済ませた後、イワナ釣りを開始。当然のことながら、入れ食いモードに突入。
 イワナ針は、いつもオーナー針8〜9号を使っているのだが、たまたま釣具店で売っていた別のイワナ針を使ってみた。すると、尺前後のイワナが掛かると、ハリスが切れてしまった。それも一度ではなく、3度も続くともはや信用できない。今時、こんな粗悪なハリスがあるとは・・・驚くほかない。皆さんもご注意を。
▲ダイモンジソウも満開に近い ▲増水した小滝

 9月ともなれば、イワナのお腹には、大きくなった白子と卵が入っている。雨で増水すれば、イワナは産卵に備えて上流へと遡上を開始する。右上写真の小滝では、増水した流れを利用して尺前後のイワナが滝を登ろうとしてジャンプする姿が見られた。これまで散々お世話になったイワナたちが、無駄と知りつつ何度もジャンプする姿を見ていると、滝の上に上げてやりたくなる。先人たちが魚止めの滝上に移植放流した心は、こうしたシーンを見ていたからであろう。
 中間部の滝まで2時間ほどしか釣っていないが、釣果は十分。あっさり竿を畳み、デポしたイワナを回収しながら下る。ミズが群生する場所では、葉の付け根に最も美味しいコブコがたくさんついていたので、それを採取する。
▲旬のイワナは、刺身用に調理。
▲イワナの刺身 ▲イワナとミズの味噌汁
▲唐揚げ ▲卵の酢醤油和え
▲焚き火で燻したイワナ ▲ミズのコブコの塩昆布漬け
▲2015最後の山釣り定食 ▲イワナの骨酒

 3日間、雨にたたられたが、その分、食材の調達は短時間で終了。早めにテン場に戻り、ゆっくり調理したお陰で、2015最後の山釣り定食は、食いきれないほどの贅沢な品々が並んだ。森と清流を借景に焚き火を囲む。こんなことを30年余りも飽きることなく続けているが・・・やはり源流レストラン兼源流酒場に勝るものなしというのが結論である。ここで英気を養い、次なるターゲット「マイタケ採り」モードに切り替えたいと思う。

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