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 2015年11月3日(火)、ナメコの森はほとんど落葉し、晩秋のナメコが最盛期を迎えていた。朝6時過ぎに車止めを出発。午前中は苦戦したものの、午後はキノコに邪魔され、車止めに戻ったのは暗くなる寸前どころか、完全に暗くなった午後5時を過ぎていた。11時間にわたりナメコの森をくまなく歩いたが、ナメコとムキタケは採り切れないほど生えていた。

 長年お世話になった倒木は、ほぼ朽ち果てつつあったが、その周辺に今年倒れたばかりの数百年ブナの老木がたくさんあった。このナメコの森は、現在、旧倒木から新倒木に移行する端境期に当たるが、3年後以降が実に楽しみである。それにしても、一日中こんなに歩いたのは久しぶりであった。
 いつもより手前の沢を上ったら、晩秋には珍しく旬のブナハリタケが生えていた。今年は、最もポピュラーなサワモダシとブナハリが大不作・・・それだけキノコ不作を象徴するような珍現象であった。中村会長は、ブナハリの煮付けを食べたいと、群生するブナハリを綺麗に採り切った。もうすぐ82歳になろうとしているが、年を全く顧みず、我々の倍も収穫。そのタフさと元気さには脱帽するほかない。
ナメコ当たりその1

 二つ目の沢を上ると、ブナの倒木にちょうど食べ頃サイズのナメコが群生していた。切り取ったナメコを受け取るザルを持ち、さしずめ「老人クラブのナメコ採り」スタート。この調子なら、ナメコがどれだけ採れるか期待に胸が膨らんだ。しかし、しばらくナメコの気配はなかった。
▲傘が5〜7分開き程度の肉厚ナメコ
 定番のルートに入っても、ナメコよりムキタケがやたら目立った。私とダマさんは、重くてかさばるムキタケをパスしたが、中村会長は「もったいねぇ〜」と言いながら、丁寧にナイフで切り取っては背負い続けた。これに後半のナメコが加わり、背負いきれないほどの量に膨らんだ。
ナメコ当たりその2

 久しぶりにダマさんがナメコ発見。ナメコは、倒木一本に出てきたばかりの幼菌、傘が開いた成菌、腐った老菌に至るまであった。時期をずらしながら次々に生えて来る見本のようであった。
▲老菌 ▲生えてきたばかりの幼菌
 これまで散々お世話になったナメコ木は、皮が全て剥がれ落ち、苔がびっくり生えて朽ち果てつつあった。にもかかわらず、発生する数は減ったものの今だナメコが生えていた。一般的には、皮がなくなるとナメコは生えなくなると言われるが、それに異を唱えるような老いた倒木もある。
 ナイフとザルを使って丁寧に採取しても、ヌメリの強いナメコには泥やゴミが付着してしまう。これを取り除くには、帰宅してから3回ほど水洗いする必要がある。たくさん採取すれば、これまた重労働だ。
 奥地に位置するナメコの森までは、先週の週末に採られたようで満足する収穫はなかった。午前11時半、その奥地ナメコの森の玄関口に位置する小沢でガス欠状態となり、早めの昼食をとる。二人の老人は、リンゴやミカンなどの果物まで持参していた。さしずめ、老人クラブの遠足のような昼食となる。
ナメコ当たりその3

 昼食後、ほどなく食べ頃のナメコに当たる。それでも、まだまだ生えている量は多くない。しかし、それは晩秋ナメコ最盛期の序章であった。
ナメコ当たりその4

 ナメコの森は、すっかり落葉していた。雲間から太陽が顔を覗かせると、倒木に生えたナメコの群れが落葉と同じような黄葉、紅葉となって光輝いた。後ろから追い掛けてきた会長は、それを見るなり、「ありゃ、すごいな〜」と感動の声を発する。
▲ 「老人クラブのナメコ採り」その2

 天候が回復した太陽の光を浴びて、楽しい、楽しいナメコ採り。
ナメコ当たりその5

 昨年は、腰痛で休んだため、ナメコ木のデータが一部欠落していた。ダマさんは、毎年欠かさず歩いているので、全てのナメコ木のデータが頭にインプットされていた。会長が、「よぐ位置を間違わずに歩ぐなぁ」と感心するほど。その狙っていた倒木には、四方八方に転がっている倒木一面にナメコが生えていた。さしずめ大当たりであった。
 傘が開いた成菌は、傘裏が白又はクリーム色の旬のものだけを選んで採取する。傘裏が変色しても食えるのだが、全てパス・・・何とも贅沢なナメコ採りモードに突入した。
ナメコ当たりその6

 この高台の森もナメコの森だが、ナメコが生える木は、完全に新旧交代していた。幼菌、成菌、老菌が所狭しと群がるナメコの美は圧巻であった。
 ダマさんは、良品のみ採取し、次のナメコ木に向かって探し回った。私はじっくり撮影した後、旬のものだけ選んで採取。会長は、傘裏が多少変色していても腐っていないものを確認し、最後まで採取。それが積もり積もって、我々の採取量の倍以上となった。
ナメコ当たりその7

 急斜面を下る途中、落葉に埋もれたナメコを発見。そのすぐ下にもダマさんがナメコ発見。どんなに当たっても、全く飽きることなく採取する。
ナメコ当たりその8

 ちょっと開き過ぎの感があるナメコ。良品のみを選んで採取する。それでも、次第に荷は重くなる。会長は、採り過ぎてザックを一人で背負えない状態に・・・ダマさんに助けてもらってやっと背負って立ち上がった。それを山菜採り用の安ザックのせいにしていたが、明らかに採り過ぎであった。
 この倒木は、2009年からお世話になっているナメコ木だから、既に7年目に入っている。ほとんど朽ち果て、倒木の左右は周囲の土と同化したような状態になっている。にもかかわらずナメコが生えていたのには驚かされた。この周囲には、数百年ブナの巨大な倒木が至る所にあった。新旧交代の端境期に当たる風景を眺めていると、3年後が待ち遠しく思えた。 

 会長がこのナメコの森でキノコを採るのは、なぜか昨年から始めたばかりで2年目・・・重い荷を背負いながら、「こんなにキノゴ採ったごどにゃなぁ〜」と嬉しそうに言った。ブナ・ミズナラ林の恵み・・・その凄さを体感するには、やっぱりキノコ採りが一番である。

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