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 今年の冬は雪が少なかったが、山も同じようだ。雪解けが早い海岸沿いの小河川は、ほとんど雪がなく、雪代のピークは終わった・・・というより、イワナを活性化させる雪代そのものがなかったような印象を受ける。渓流の底石には、黒い苔が残り、ヌルヌルしていて滑りやすい。中下流部は、全く雪がないにもかかわらず、イワナは瀬に全く出ていない。釣れて来るイワナは、全体的に頭がデカク痩せている印象を受けた。
 現在、「モリエールあきた」で特集「野鳥シリーズ」を編集中・・・様々な野鳥の生態を猛勉強している。借用している野鳥カメラマンたちの作品はいずれも素晴らしく、森と野鳥の関係の深さを再認識させられた。ゆえに野鳥の写真を無性に撮りたくなり、機材一式を新調して今年の3月下旬頃から身近な野鳥の撮影に挑戦している。その機材と実写テスト結果については、最後に記す。上の写真は、早咲きの桜の蜜を吸うヒヨドリ。
 例年、初釣りは4月上旬だが、渓流沿いに雪が全くない風景は記憶にない。さらに昨日は雨が降ったにもかかわらず、ほとんど増水していない。ということは、源流部の雪もほとんどなくなった証左であろう。ならば、イワナは瀬に出ているに違いない・・・と思ったが、全て早春のポイントである大場所でしかヒットしなかった。これはどうしたことだろう。
▲今年初のイワナ

 車止めには、誰もいなかったので、30分ほど歩いて中流部より入渓した。下流部のイワナは、比較的型が良く、痩せてはいなかったが・・・。
▲黒くサビついた刺身サイズのイワナ・・・雪代の洗礼を受けていない典型的な早春イワナ。
▲バッケもこんなに大きくなって、山菜としての旬は過ぎていた。
▲S字状に曲がったゴルジュ帯入口を釣る。
▲大淵で釣れた良型イワナ。
▲大石が点在するゴーロ帯を釣る。 
▲お腹にガラ掛けしたイワナ・・・頭がデカイ割に痩せたイワナ。 
▲橙色が鮮やかなイワナだが、またしても頭が大きい割に体が痩せたイワナであった。

 写真は撮らなかったが、サンマのように痩せたイワナも釣れた。とても食欲が湧きそうにないのでリリースした。 
▲上流部に来ると、やっと残雪が見えたが、例年に比べると、ないに等しい。
▲野生化したクレソン 
▲雪解けの斜面から顔を出したばかりのカタクリ 
▲早春キノコの代表・・・エノキタケ(ユキノシタ)
 源流部でも、ほとんど雪が見当たらない。ということは、雪代が終わったはずたが・・・イワナのいるポイントや釣れてくるイワナを見れば、雪代の洗礼を全く受けていない早春イワナそのものであった。さらに不思議なことに、上流に釣り上がるに連れて型がちいさくなっていった。これも理解に苦しむ現象であった。いずれにしても、例年と明らかに違うことは確か・・・雪代らしい雪代がなければ、イワナは活性化しない。 
▲マルバマンサク
▲イワウチワ・・・こんなに早く見たのは初めてのこと。今冬の雪の少なさを象徴している。
▲キブシ・・・黄色い暖簾を吊り下げたように長い花序を垂らす
 カラスのように濁った声で鳴くカケス。沢から上がって林道を下る途中、たくさん見かけた。車止め付近では、ツガイも見掛けたが、木や枝が邪魔をして全く撮れなかった。ヤマドリのオスにも出会ったが、相手が先に気付いて藪に逃げられてしまった。今回持参したカメラは、コンパクトデジカメ「PowerShot G3X」、24-600mm相当の光学25倍ズームレンだが、野鳥撮影には全く無力・・・やはり野鳥専用のカメラとレンズが必須だと痛感させられた。
▲エゾノイワハタザオ
▲群れではなく、たった1匹だけのサル・・・離れザルだろうか。早春のイワナ釣りでは、雪崩にやられたカモシカをよく見掛けるが、今年は皆無である。
▲早春の山菜・・・おひたし用にカタクリを少々摘む
▲スミレサイシン 
▲キクザキイチゲ  ▲ネコノメソウ
▲ニリンソウとトリカブトの混生・・・どれが猛毒・トリカブトか分かりますか。
▲ミヤマキケマン
▲ニリンソウ・・・早くも咲き始めたので、今年の山菜は例年になく早そうだ。

 本格的な雪代の洗礼を受けていない初物イワナであったが、刺身にしたらコリコリした歯応えは抜群で天然イワナの美味しさに変わりはなかった。一日目は、イワナの刺身と輪切りにしたイワナの唐揚げ、二日目は新聞紙にくるんで冷蔵庫に一日置いたイワナの塩焼き・・・やはり自分で釣って、さばいて、調理すれば、美味しさは何倍にも膨らむ。美味しいだけでなく、心の満足感、幸福感まで満たしてくれるからたまらない。
ボディCanon EOS7DMark2、レンズEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM

 世界的に権威のある写真・映像関連の「TIPAアワード 2015」で大賞を受賞したEOS7DMark2と、今最も売れているレンズEF100-400mmは、野鳥撮影入門には最適な組み合わせだと思う。最高約10コマ/秒の高速連写、APS-C サイズだからレンズは1.6倍・・・160mm~640mmの超望遠ズームになり、かつ4.0段分の手ブレ補正は強力で、手持ち撮影ができる点が決め手になった。
 動きが速く種類の多い野鳥・・・それをできるだけ多く撮影するには、機動力を優先させ手持ち撮影を基本にせざるを得ない。身近な野鳥はスズメ科の小さな野鳥が多く、逃げない距離を保つと、400mm程度のレンズでは、小さくしか写らない。そこで、最高画質で撮影したものをトリミングしているが、これでも十分楽しめる。しかし今後は、営巣での子育てや、あはよくばツキノワグマ、カモシカ、リスなどの野生動物も撮影してみたい。

 となれば、もっと倍率がほしいということで、EXTENDER EF1.4X IIIを購入。これを付けると1.4倍になるから、224~896mmの超望遠ズームになる。ただし、三脚は必須になるから、耐荷重の大きい三脚と雲台をさらに購入する必要がある。結構な出費になるが、むしろ撮影の楽しみの方が遥かに大きい。
実写その1・・・ヤマガラ(手持ち撮影)
実写その2・・・ツグミ(手持ち撮影)
▲実写その3・・・カワウの給餌(手持ち撮影)
▲実写その4・・・アオサギコロニー(手持ち撮影)
実写その5・・・アオゲラ(手持ち撮影)
実写その6・・・カルガモの飛翔(手持ち撮影)
実写その7・・・キジ(手持ち撮影)

 これまで野鳥撮影は、「無理」だと諦めていた。なぜなら、野鳥撮影用の超望遠レンズは1本100万円前後もする。さらに、じっと待って撮る撮影はやったことがなく、食わず嫌いに終始していた。しかし、今やデジカメとレンズの進化は、私の想像を遥かに超えていた。全くの野鳥撮影ど素人が、手持ち撮影にもかかわらず、高速連写すればブレルことなく鮮明に撮れる事実に心底驚かされた。
実写その8・・・桜とヒヨドリ(手持ち撮影)

 新たな特集企画「樹木の花シリーズ」に備えて、昨年3月頃から樹木の花々の撮影を続けている。最近、樹木の花だけでなく、そこに野鳥が入るとインパクトが断然増すことに気付かされた。新緑の季節になると、樹木に営巣し子育てが始まる。秋になると様々な木の実がなるが、その実に野鳥が群がる。そうした樹木と野鳥の関係を端的に表現する写真をぜひ撮ってみたいと思う。

 また、「森の学校2016」の一環で、2017年1月21日(土)には、「クマ等の生態と被害防止対策」の講座でプレゼンを行う予定。その際、使用するツキノワグマやカモシカ等の写真は、できるだけ借り物ではなく自分で撮ったものを使いたい。「山釣り」の趣味の範疇を超えて撮りたい被写体が無限に広がり、体が幾つあっても足りなくなってしまった。

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