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 今年のイワナは最悪である。いつもなら尺イワナが釣れる時期だが、そんな予感はゼロ。源流部に残雪はほとんどなく、早くも渇水で流れに力がない。水深の浅い場所の底石には、黒い苔がびっしり生え、渓流足袋を履いていても滑る。イワナのポイントは土砂で埋まり、イワナや川虫たちが隠れる場所も少ない。これじゃイワナが可哀想・・・この岩魚谷を見る限り、今年は雪代がないに等しい。イワナにとって、雪と雪代がいかに大事なものであるか、改めて思い知らされた。
 秋田はサクラが満開・・・と同時に、ツバキやトサミズキ、コブシ、ハクモクレン、ユキヤナギ、レンギョウなどの樹木の花々も次々と咲き始めた。その「花鳥風月」を写真で表現するには、今が絶好のチャンス。天候が良ければ、夜明けと同時に公園や神社に出掛けて野鳥を撮影している。不思議なもので、これまでほとんど姿を見ることができなかった野鳥たちが、こんなにもいたのかと驚かされるほど目に見えるようになった。その一部を、最後に記す。
▲冬眠から覚めたクマたちの大好物「ブナの若葉と花」が一斉に咲き始めた。
▲イワナ釣りシーズン到来を告げるオオヤマザクラの花も咲き始めたが・・・
 幸い車止めには誰もいなかったので、下流から釣り上がることに。しかし、雪代のない渇水状態に加え、昨日釣り歩いたような真新しい二人組の足跡がくっきりついていた。イワナの影すら見えない。たまに釣れてくるのは、一年生サイズ。竿を畳み、一気に中流部まで歩く。
 昨年、4月24日の記録では・・・「渓畦林が芽吹く中を雪代水で増水した流れは、やや笹濁り状態であった。こういう時のエサは、ミミズが一番。重いオモリでポイントの底を探り、ミミズ特有の臭いと動きでイワナを誘う」とある。今年は、流れに力がなく、底石まで丸見え。それでもイワナは瀬にほとんど出ていない。さらに、サイズは6寸〜8寸前後と小さい。明らかに例年と異なる。
▲腹部が鮮やかな柿色に染まったニッコウイワナ。
▲サビがすっかりとれたような白っぽい美魚。
 苦戦はしたものの、何とか刺身サイズのイワナが4尾ほと゛釣れたので、今晩の酒の肴には充分・・・まだ昼前の11時だったが、帰りは山菜を採ろうと早めに納竿。お湯を沸かし、ミニカップラーメンを汁代わりにしておにぎりをほおばる。汗をかきながら谷を歩けば、俄然食欲が増す。朝と昼用のオニギリ4個と大福、バナナもたいらげる。最後はコーヒーで締めてから、急斜面を登って崩壊林道へ。
▲大きな葉を三枚広げた真ん中に、小さな花を咲かせたエンレイソウの小群落。
▲湧水が流れる斜面に野生化したクレソンの群落。
▲赤みの強いエゾエンゴサクの群落。
▲オオバクロモジの可愛い花
▲崩壊林道から新緑に染まり始めた谷を望む。

 昨年、シドケとアイコを採った枝沢の斜面を覗くと、山菜の気配は全くなかった。雪解けが極端に早かった割には、山菜が出てくるのが遅い。帰路に出会った山菜採りのプロに聞くと、4月は気温が低く、昨年より山菜の出が1週間遅いという。それでも今日の最高気温は20℃を超えたので、これから一気に出てくるだろう。
 下流まで下ると、ニリンソウは満開・・・下流部の小沢周辺を探ると、アイコ、シドケ、山ワサビ、コゴミ、ホンナが生えていた。ただし、まだ出始めで、もう一数日経てば最盛期を迎えるだろう。
▲アイコ  
▲シドケ 
▲山ワサビ  ▲ラショウモンカズラ
▲山ワサビの花アップ
▲コゴミ ▲スミレサイシン
▲タチツボスミレ ▲シラネアオイ
野鳥撮影その2 
梅とメジロ

 土崎神明社の入口に梅の花が二本咲いていた。その梅の花の蜜を吸っていたヒヨドリが見えたので、ケヤキの大木に隠れてヒヨドリを撮影していた。この時、梅に群がる小さなメジロは全く見えていなかった。参拝者が梅の木に向かってきた。せっかくのシャッターチャンスだったが、それに気付いたヒヨドリたちが一斉に逃げた。と同時に、小さな鳥たちが隣の梅の木に一斉に移動するのが初めて見えた。よく見ると、あの可愛いメジロではないか・・・夢中で高速シャッターを押し続けた。
▲ヤブツバキの蜜を吸うヒヨドリ
スズメがサクラの花をついばむ

 スズメがサクラの花をついばんでは、はなびらを散らしていた。遊びか、それとも恋のサインか・・・何度も何度も繰り返すので、これは何か意味があるのだろう。調べてみると、スズメは、メジロのように花の蜜を吸えないらしく、花を食いちぎって噛むようにして花の蜜を味わっているのだという。へ〜え、やはり野鳥撮影をしなければ分からないことが山ほどあるものだ。
▲サクラの花に隠れて・・・スズメの交尾
キジの求愛ディスプレイその1

 高清水公園で、キジのオスを3匹観察している。上のオスは、最もメスに人気が高く、現在3匹のメスをゲットしている。もう1匹のオスは、やっと1匹のメスをゲット。しかし、残る1匹は、護国神社をナワバリにしているが、今だにメスの獲得数はゼロ。
人気が無いキジの求愛ディスプレイその2

 人間の目から見れば・・・護国神社内をナワバリにし、最も目立つ切り株の上に立って、威勢よく何度も何度も求愛ディスプレーを繰り返している姿は、美しく、感動すら覚えるのだが・・・なぜかキジ仲間のメスには人気が無く、今だ独身状態が続いている。
カルガモの求愛ディスプレイ?

 神社の沼でカルガモのツガイが水浴びを始めた。最後の仕上げは、羽を大きく広げ前後に羽ばたきながら水を弾き飛ばす。まるでキジの求愛ディスプレーに似ていてオモシロイ。
▲鳴き声も姿も美しいオオルリ
▲トサミズキの花とメジロ
▲顔中を黄色い花の蜜に染まったヒヨドリ
サクラに群がるメジロ

 もともと小型で、森林内では保護色だからなかなか見つけることができない。サクラが満開になると、大群で同じサクラの木に舞い降りる。その光景は圧巻の一言である。どこに、こんなにたくさんのメジロがいたのかと思うほど数が多い。そして、片時も休まず花の蜜を吸い続ける。樹木の花には、メジロが良く似合う。こりゃ中毒になりそうだ。 

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