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炎天下の尺イワナ

 今年の夏は、雨が少なく猛暑が続く・・・こんな夏はトンビマイタケが豊作と言われている。けれども、草木が背丈ほど伸びたヤブに向かう気にはなれない。イワナの食いも最悪だろうが、涼しさを求めて数年ぶりのイワナ谷に向かった。本流は、テンカラで釣り上がったが、意外にもほぼ入れ食いで釣れてくる。気温はグングン上昇・・・最高気温は35度・・・隠し沢のような枝沢に入ると、サイズもアップ・・・尺イワナが2尾も出たのには驚いた。
 車止めに着いたのは、いつもより遅い7時。というのも、今年の盆は忙しく、夏の山釣りは中止・・・それだけに釣りは二の次で、涼みながら沢を歩きたかっただけである。連日、35度前後の猛暑が続き、雨が極端に少ない。それでも杣道沿いには、夏の草花たちが元気に咲き誇っていた。その生命力に元気をもらいながら1時間ほど歩く。渓に入ると、やはり水は少なく、剥き出しの大岩だけが目立つ。果たしてイワナは釣れるのだろうか。
▲ハンゴンソウ ▲オトコナエシ 
▲オトギリソウ  ▲キンミズヒキ 
▲ウドの花  ▲ノコンギク
▲ヌスビトハギ  ▲ウワミズザクラの実
▲シナノキ  ▲マタタビの実
▲リョウブの白花  ▲オオカメノキの赤い実
 熱い陽射しが水面にギラギラ反射し、流れに力がない。こんな釣れない釣り日和では、エサ釣りは×。テンカラに竹濱毛ばりを結び、振り込む。何と一投目から良型がヒット。
 毛バリをうまそうにくわえたイワナ。これで完全に釣りモードに突入。
 毛バリを喉の奥まで飲み込んだイワナ。
▲イヌトウバナ ▲アザミ
 暑い夏こそ沢歩きに勝るものなし・・・こんなシャワーが滴り落ちる小滝は、わざわざ冷たい飛沫を浴びて涼を楽しみながら釣り上がる。
 全身黄金色に染まった黄金イワナ。 気温はグングン上昇するから日陰でも暑い。全身から汗が噴き出す。今日は、一日渓を歩き、下界の毒素を全身から排出するのがもう一つの目的・・・そしてケガレのないブナ帯の名水で全身を潤せば、老いた体も元気になるからだ。
 苔生す岩場を滴り落ちる湧水・・・熱中症になりかねない猛暑でも、沢歩きは水を全く背負う必要がない。こうした名水が売るほどあるからだ。ザックに下げていたコップを取り出し、ブナ帯の名水を飲む。五臓六腑に沁み渡る美味さ・・・おかわりして二杯も飲む。
▲ツリフネソウ
▲キバナアキギリ ▲キツリフネ
 源流の二又・・・ここでテンカラの竿は本流に置き、エサ釣りのチョウチン仕掛けで左の枝沢に入ってみる。流れはチョロチョロ状態で、釣るポイントがないほどの超渇水。だから、釣れなければすぐに引き返すつもりだった。ところが、サイズがワンランク上がったイワナが竿を弓なりに・・・。 
 エサは7月の山釣りで余ったブドウ虫。オモリはつけず、エサの浮かせ釣りである。わずかな淀みにブドウ虫を水面に浮かせると、岩陰からスーッと出てきて水面から躍り出て食らいつこうとする。まるで毛バリに食いつくような動きを見せるイワナもいた。 
▲黄金イワナその2
▲丸々太った泣き尺のイワナ
 この隠し沢のような小沢は、魚止めまでの距離が短い。けれども、魚止め近くになるとサイズがアップし、やっと尺イワナが釣れた。この小沢は、両岸ヤブだらけで釣りずらい。テンカラはもちろん、標準仕掛けでは釣りにならない。だから、最近の釣り人は敬遠しているのだろう。でなければ、真夏に尺イワナが釣れるはずがない。
 魚止めの滝では、精悍な面構えをしたオスの31cmがヒット。時計をみると、既に12時を過ぎていた。
 滝の冷風を浴びながらオニギリをほおばる。足早に本流に戻り、二又に置いていたテンカラの竿も畳む。立っているだけで汗が全身から噴出すほどの暑さの中、下ること2時間余り・・・足元がフラフラするほど、体力の限界まで歩かされていることに気付く。これは、きっとイワナの魔力のせいであろう。

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