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2016ナメコは不作?

 2016年10月26日、ブナ帯の森が黄葉すればナメコが生えてくるサイン。なのに何故、トップ画像にナメコの群生ではなく、黄葉の風景なのか・・・今年は、倒木、立木に生えるキノコ類は不作。今頃、毒キノコの筆頭・ツキヨタケが最盛期なんて、これまで見たこともない。腐っているサワモダシも異様に少ない。ナメコとムキタケは出てきたばかりだが、生えている規模は面ではなく点でパラパラ。不作の理由は、夏の高温少雨に尽きるだろう。
▲ナメコの森・ブナの黄葉初期の風景
 今年は、倒木に生えるキノコの発生が例年よりかなり遅い。それを象徴する風景が上の写真。白いキノコはブナハリタケ、その下の大きなキノコの群れは毒のツキヨタケである。例年なら、マイタケ採りのシーズンに見掛けるキノコで、黄葉の季節には姿を消すキノコなのだが・・・
 やっとナメコの幼菌を見つける。よく見ると、下にムキタケではなくツキヨタケがびっしり生えている。これもいつもとは違うキノコの風景である。
 この森では、ムキタケが生える頃には、紛らわしいツキヨタケが姿を消す。ところが、今年は同じブナの倒木にムキタケとツキヨタケが一緒に生えている。今年の異常さを象徴する風景に驚く。
 何と、これから生えようとするツキヨタケの幼菌さえ見られた。地球温暖化の影響が、ついにブナの森にまで及んできたと言うことだろうか。 
 傘が開いたナメコは、残念ながら旬を過ぎていた。幼菌も見られるが、いずれもまばらで「ナメコの群生」とは程遠い不作。
 サワモダシは、とうに旬を過ぎているが、いずれも群生規模が小さく、驚くほど少ない。
 美味しそうなナメコを見つけても、倒木一面に生えているわけではなく、部分的に生えているに過ぎない。採っても、採っても袋一杯にはならない。 
 やっと見つけた旬のムキタケ。一般的にムキタケは、水分の多い倒木下面から生える。そのセオリー通りに生えているが、こんな光景はこの一ヶ所だけ。 
 カツラが黄葉すると、キャラメルあるいは醬油せんべいのような甘い香りが漂う。昔は、この香り高い葉を粉状にしたものを抹香として利用していた。だから秋田では別名「抹香の木」などと呼んでいる。
 ブナの巨樹が連なる尾根に腰を下ろし、黄葉の絶景を望む。早くもすっかり落葉して白く白骨化した木々も見える。思えば、今年も後二ヶ月しかない。歳を重ねるたびに、時の流れが速くなるのは何故だろうか。 
▲トチノキの黄葉 
▲肉厚のナメコ 
 長い草に覆い尽された倒木に生えていたナメコ。水分が蒸発しにくい倒木だから、ナメコが生えていたのだろう。それでもいつもの群生規模には程遠く、やたらマバラに生えているに過ぎない。これじゃ、採ったところで袋一杯にならない。今回のナメコ採りは、これまでの最低を大幅に更新する結果となってしまった。 
▲ムキタケ ▲ブナハリタケ
 ただ、次回に期待がもてる豆粒ナメコがまばらながらも、あちこちで見られたこと。それにしても少ない。これじゃ2人以上で来たら、採るキノコがほとんどないに等しい。  
▲豪雪に強いエゾユズリハの大群生 
▲ブナの葉陰越しに黄葉の絶景を望む。 
 斜面の中腹部は黄葉真っ盛り、峰の高い部分はすっかり落葉して白骨化している。赤、黄、橙色、白、緑・・・この多彩な色のグランテーションが美しい。黄葉は、今年最後の「散りゆく美」で、日本人好みと言われる。しかし、北国のブナ帯の森は、新たに萌え出る新緑の美・・・命芽吹く春の方が数段美しいと思う。 
 谷の下部は、まだ緑が多く黄葉初期の段階。 
▲黄葉から枯葉になったブナ  ▲ブナの立木に生えたナメコ・・・残念ながら手が届かない高さに生えていた。
 ナメコが生える倒木は、5~8年ほど生えると朽ち果てて土に返る。そんなナメコの森が永遠にナメコの森でいられるのは・・・寿命が尽きた巨樹は、雪崩や強風で倒される。倒れてから3~4年ほど経過すると、極上のナメコやムキタケが生えてくる。こうして森の世代交代が繰り返されるが、そのお蔭で生えてくるキノコ木も世代交代を永遠に繰り返す。キノコ好きには、何とも有難いブナ帯の森である。

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