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2017イワナ釣りその2

 春になったとは言え、天候不順が続いている。暴風雨が吹き荒れた翌日、4月20日、相棒と恒例の沢へ向かった。雪代と雨が加わり、沢の渡渉ができないほど増水していた。下流で竿を出せば、渡渉不能に陥る。1時間ほど歩き、沢の中間部へ降り立つ。残雪と白泡渦巻く水量の多さに驚く。釣りは2時間半ほどで竿を収めたが、二人とも尺イワナを含む10匹余りとまずまずの釣果であった。下流ではオオヤマザクラやニリンソウが咲き始めたが、なぜか山菜の出はかなり遅い。このちぐはぐさは、今春の天候不順を象徴しているように思う。
 お腹と背中にホッカイロを張り、防寒対策を万全にして車止めを出発。崩壊林道から谷筋を望む。白い雪が山肌に斑状に残り、木々は今だ冬枯れのまま。その沈黙のV字谷の底から、昨日の雨と雪代で増水した凄まじい轟音が聞こえてくる。
 谷筋に残る雪は予想以上に多い。残雪を吹き抜ける風は殊の外冷たく、手がすぐにかじかむほどだった。イワナ沢の流れは、沢全体が白く波立ち、左右岸への渡渉は困難な状態であった。できるだけ渡渉しないように歩くしかなく、淀みを中心に釣り上がる。
 悪コンディションにもかかわらず、良型イワナを次々と釣り上げる相棒。雪の多い年は、やはりイワナの活性度は高い。
▲黒くサビついた春イワナ 
 オモリは、最大ガン玉3Bまでしか持ってこなかった。瀬脇にエサを流すと、3B程度のオモリでは激流に踊らされて安定しない。イワナは見えるのだが、前後左右に動き回るエサに食いつけない。相棒から5Bのオモリをもらって、再度激流の瀬脇に振り込んでみた。狙った通り、イワナはやっとエサに食いついた。
 合わせると予想していた以上に重い。先ほど見えたイワナより一回り大きい31cmの尺イワナであった。エサ釣りの場合、その日の水量に応じてオモリを選定することが第一。3B程度のオモリでは、雪代に雨が加わると軽過ぎる。
▲鮮やかな黄色のホンドテン

 冬枯れの沢では、ホンドテンの鮮やかな黄色が良く目立つ。沢沿いを下ってきたので、私と目が合った。絶好の被写体と思いカメラを構えると方向を転換。すかさず岩場の急斜面を駆け上がっていった。 
▲顔が黒くサビつき、斑点が大きく鮮明な個体。 
▲顔の黒さと、着色斑点、腹部の橙色が際立つ。 
 釣り開始は8時。キープしたイワナが10尾を超えたので、時計を見ると10時半。相棒に「納竿」のサインを送ると、満足したらしくあっさり竿を畳んだ。小沢でお湯を沸かし、コーヒーを飲みながらパンと大福餅をほおばり、エネルギーを充電する。
 予報では、一日曇りであったが、ラッキーなことに青空が見え始めた。まだ芽吹かない森に太陽の光が林床まで降り注ぐ。小沢沿いの急斜面を落差100mほど上り、崩壊林道へ。
▲小沢沿いの倒木に生えていたエノキタケ(ユキノシタ) 
  • 料理・・・味噌汁、煮物、和え物、天ぷら、お吸い物、野菜炒め、鍋物など日本料理によく合う。早春のエノキタケは、パッケやヤマワサビなど春の山菜と一緒に味噌汁にすれば最高の味である。
▲雪が解けたばかりの土から顔を出したバッケ(ふきのとう)

バッケ味噌・・・まだ開かない若芽が旬。早速、春の香りを楽しむためにバッケ味噌で味わう。
  1. よく水洗いし熱湯で色好くサッとゆでる。冷水にさらし、ザルに上げる。
  2. よく水分をとり、細かく刻む。
  3. フライパンに油を熱し、刻んだバッケを炒め、味噌、砂糖あるいはみりんを加えて、さらに弱火で炒める。
▲虎のような斑模様が特徴のトラツグミ。日本最大のツグミ類、全長30cm(留鳥)。
▲花かんざし、あるいは花の暖簾のように垂れ下がるキブシ。 
▲ブナの芽吹き ▲クロモジ 
▲バッコヤナギ ▲カツラの若葉
▲芽吹く前の林床を彩るオオイワウチワの群落。淡いピンク色の花を敷き詰めたように群生する。
▲スミレサイシン
▲エゾノイワハタザオ  ▲ニリンソウ 
▲梅の花蜜に誘われてやってきたコムクドリのオス。
 里ではサクラも開花。上の写真は、チョウジザクラの花蜜を吸うメジロ。梅やツバキ、トサミズキ、レンギョウ、コブシなど、樹木の花も次から次へと咲き始めた。そんな中、今年の山菜は、予想以上に遅い感じがする。「雪が多い年は、山菜も豊作」・・・今後、気温さえ上昇すれば、一気に出てくるだろう。後は、山菜本番を待つのみである。     

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