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ワンランク下の山釣り・・・里山キャンプ釣行

  • GW前半は好天が続いたが、後半は最悪・・・メインの二日目は雷が鳴って大荒れの予報であった。加えて、我が会の高齢化を考慮すれば、源流キャンプ釣行から里山キャンプ釣行へ移行せざるを得ない。簡単に言えば、「ワンランク下の山釣り」を実践してみることにした。ワンランク下げるということは、感動もワンランク下がるかと思いきや、意外に満足度の高い里山キャンプ釣行であった。
  • 高齢者メンバーは、78歳の副会長を筆頭に3名が70代、一番若い私でさえ66歳である。2泊3日の食料と野営道具一式を背負って心臓破りの坂を上るのは困難になりつつある。そこで、車止めから30分ほど歩いた旧車止めの広場にキャンプすることにした。雨は昨夜から降り続き止む気配なし・・・沢は濁流と化していた。お陰で車止めには、誰もいなかったが、イワナは期待できそうになかった。
  • 全く汗をかくまでもなく、旧車止めの広場に着いた。雨は相変わらず降り続いていたので、まずはブルーシートを張って、その下で背負ってきた食料やら野営道具一式を整理する。遅い朝食後、テントの設営やら、焚き火用の薪を集めなど、やることは山ほどある。沢の水は濁って使えないので、ブルーシートの屋根から落ちる雨水を大鍋に集めて確保。里山キャンプとはいえ、やることは源流キャンプと同じだ。 
  • 雨は小降りになっていたので、流れは濁流から笹濁り状態に変化していた。副会長とキンさんの二人は山菜班、私とダマさんの二人はイワナ調達へ。本流の渡渉は、笹濁りとは言え、流速が見た目よりかなり速い。一人で渡ると、流される危険が大であった。二人でスクラム渡渉を繰り返し突破する。 
  • 釣る区間は、日帰り釣りで何度も攻められている下流部。スレていることは明らかなのだが、目標は、イワナ4匹と設定。雨のお陰で、目標を上回る6匹をゲット。おまけに31cmの尺イワナまで釣れた。実にラッキーであった。
▲イワナの刺身 ▲唐揚げ
▲シドケのおひたし ▲アイコと新玉ネギの酢味噌和え
  • ワンランク下の山釣りとは言え、いつもの山釣り定食と全く変わらない。ただし源流酒場ではなく、里山渓流酒場といったところ。それでも渓流の傍らで呑み食べれば、なんたでって美味い。あっという間に酒は1升を飲み干し、ウイスキーは持参した半分を消費してしまった。明日は、雷が鳴り大荒れになることを覚悟してシュラフに潜り込んだ。
  • 二日目・・・大荒れの予報とは裏腹に、時折太陽が雲間から顔を覗かせた。この時、嵐の前の静けさだと思った。イワナは荒れる前の午前中が勝負・・・カメラも昼飯も持たずに沢の上流に向かった。二又から竿を出す。大きな淵には、イワナが群れていた。しかし、ブドウ虫を何度流しても無視されるばかり。「雨後は、ミミズが魔法のエサ」との格言を想い出し、ミミズに切り替える。すると一発で良型イワナが食いついた。
  • 試しにもう一度、同じポイントにミミズを流す。流れは澄んでいたので、通常では大きい順番に釣れるはず。だから、先ほどよりワンランク下のサイズしか釣れないはずだが・・・何と先ほどより強い引きがかえってきた。一呼吸おいて合わせると、竿は弓なりになる。そのまま下流へと強引に誘導し、一気に左岸の河原に引きずり上げる。丸々太った尺イワナを手に、上を見上げれば「山笑う」。
  • 草木が芽吹き、山菜が一斉に芽を出す新緑の山・・・釣り上がりながら、やたら気になったのは山菜。シドケもアイコも、源流部と同じくらい茎が太く極上品が生えているではないか。日帰り区間とは言え、訪れる釣り人は山菜を採らないようだ。さらに茎の太さから推定すると、地元の山菜採りの人たちも採っていないことは明らか。まさに山菜の穴場的場所であった。二人でイワナを12匹確保した時点で竿を畳み、山菜採りに専念する。
  • 右岸の緩斜面は、見渡す限り一面が山菜の畑・・・下側がアイコ、斜面の上部はシドケが群生していた。しかも山菜を採るタイミングは、ベストであった。幸いなことに、大荒れの予報は外れたようで、雨が降る気配はなし。のんびり山菜採りを楽しむ。こんな時にカメラをテン場に置いて来るとは・・・残念至極であった。
  • 下って、二又右岸の台地は、極上のアイコ畑であった。ワンランク下の山釣りを実行しなければ、決して出会えない近場の山菜畑である。日帰り領域ではあるが、釣りより山菜採りが楽しい沢を発見した感動は殊の外大きかった。
  • 昼頃、テン場に戻って、朝食の残りのご飯でチャーハンを作り食べた。二日目の予報は完全に外れたのか、快晴となった。全員で左岸のシドケが群生する斜面に向かう。
  • テングスミレ(ナガハシスミレ) ・・・河原にタチツボスミレの仲間が咲いていた。よく見ると、花の背後に天狗の鼻のような距があるので別名テングスミレと呼ばれている。正式名称は、ナガハシスミレだが、テングスミレの方が覚えやすい。
クロモジの若葉と下向きに咲く花  ハウチワカエデの若葉と花 
  • シドケが群生していた斜面・・・年をとると何故か、「釣り」より楽しい「山菜採り」
エンレイソウ(延齢草、ユリ科)
シラネアオイ(白根葵、シラネアオイ科)  クルマムグラ
  • ブナの新緑 
  • ベニイタヤの若葉と黄色い花・・・遠くから山を眺めると、新緑の中に紅色の若葉が際立つ。その「春紅葉」を演出する紅色は、このベニイタヤとオオヤマザクラの若葉だ。 
  • オオヤマザクラの若葉・・・花が散った後の若葉は赤みが強い。花も若葉も淡紅色であることから、別名ベニヤマザクラと呼ばれている。 
  • コヨウラクツツジ・・・ 葉は枝先に集まって輪生状になり、枝先に3~5個の壺状の花が下向きに吊り下がる。
  • 山菜をコダシ一杯に採ってテン場に戻る。
▲アイコのおひたし ▲シドケは湯がいてごま和えに
▲イワナの刺身 ▲唐揚げ
▲アイコの葉と、焚き火で焼いた頭骨は味噌汁に ▲春の山釣り定食
  • 焚き火と山の幸を囲み乾杯。二日目は大荒れの予報だったので「地獄」を予想していたが、これ以上ない好天に恵まれた。その落差が大きかっただけに、心は「天国」の気分であった。ところが・・・
  • 夜、大荒れに・・・突然、稲妻が走り雷が鳴り出した。最初は横殴りの雷雨だったが、その後ブルーシートを叩く音が尋常ではなくなる。「バチッ、バチッ」とシートを叩く凄まじい音が頭上から降り注ぐ。何と、「ひょう」が降ってきた。 驚くほかない。
  • シュラフに潜っても、雷雨は止むどころか激しさを増す。11時頃、余りの凄まじさに寝ていられず外に出ると・・・何と雪の重みでブルーシートが潰されそうになっていた。雷雨と「ひょう」だけでなく、「雪」にも見舞われた。それでも夜だったから、寝てやり過ごせばよかった。結果的に予報通りの展開となったが、夜にズレてくれたのは、不幸中の幸いであった。
  • 三日目の朝は快晴・・・オオルリやヒガラ、カケス、アオゲラ、ミソサザイなどの囀りが春紅葉の山々に木霊する。
  • 飯盒で飯を炊き、イワナの頭骨で出汁をとったアイコの葉の味噌汁で親子丼を食べる。昨夜の雷雨、ひょう、雪で濡れたテントと衣類を乾かし、お世話になったテン場を綺麗に片付け荷造りをする。
  • 帰路は、草花を撮りながらのんびり車止めへ。
  • キバナイカリソウ・・・卵形の大きな葉は緑色で、縁にトゲ状の毛がある。
  • 同じキバナイカリソウだが・・・葉の縁に、クモイイカリソウのような紅紫褐色の縁取りがある。葉の縁にトゲ状の毛があるので、違いは縁取りだけである。この縁取りは、やがて消えるのだろうか。
ラショウモンカズラ(シソ科) マムシグサ(有毒、サトイモ科))
トチノキの若葉 ▲ズダヤクシュ(ユキノシタ科)
▲シャク(せり科)の白花・・・葉と根は食用 ミヤマキケマン(有毒)
  • クルマバソウの大群落 
モミジイチゴ(バラ科)・・・クマの好物 オオカメノキの白花
  • ニリンソウ(キンポウゲ科)・・・3輪咲いたニリンソウ。サンリンソウは、花茎につく葉には葉柄があるので区別できる。ちなみにサンリンソウは、必ず3個の花ではなく、1~4個とバラバラである。
  • 高齢者のための山釣り・・・年を重ねるごとに足腰が弱くなる。それでも山釣りを楽しみたい。ならば、自分たちの体力に合わせた楽しみ方を模索するほかない。今回、ワンランク下の山釣りを試みて、その可能性は無限大であることに気付く。これからが益々楽しみになってきた。

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