山釣り紀行TOP

里山キャンプ釣行Part2

 ワンランク下の山釣り・里山キャンプ釣行は、高齢者向きの山釣りスタイル。今回は、崩壊林道を1時間ほど歩き、そのど真ん中にキャンプしてみた。しかし、いつも良いことばかり、とはいかない。第一日目は、日帰り領域だけに、イワナのサイズに不満が残った。メインの二日目は、目指す険谷の沢がいまだ巨大なスノーブリッジに埋め尽くされ、遡行不能であった。調査不足とは言え、散々な結果に。それでも、山を釣り歩き、採取した山の恵みで酒を呑み、山に泊まる楽しさは充分に味わうことができた。 こんな素晴らしい非日常の世界がすぐ傍にある秋田の自然に感謝、感謝である。
  • 草茫々と化した崩壊林道をゆく。 
  • タニウツギロード・・・崩壊林道沿いの斜面には、満開を迎えたタニウツギの花が延々と続く。
  • 残雪とバッケ 
  • ハナニガナ 
  • ヘビイチゴ 
  • モミジイチゴ・・・まだ黄色に熟していない。 
  • ツボスミレ
  • エゾアジサイのツボミ
  • 里山キャンプ・・・崩壊林道とはいえ、テン場の選定は、周囲が植林されたスギ林ではなく、ブナ・ミズナラ林に覆われていることが第一ポイントである。周囲が広葉樹に覆われていると、借景が美しいだけでなく、斜面崩壊などの災害リスクもなく、かつ野鳥の囀りで目覚めることができる。さらに清冽な水場(枝沢流入地点)と焚き火用の倒木があること。これら全ての条件を満たす場所にテン場を構える。
  • 崩壊林道のテン場・・・元々平らに近いので、ほとんど整地することなくテントを張ることができる。焚き火用の薪はブナが最も優れているが、幸運にも、すぐ近くに、今年倒れたばかりのブナの倒木があった。
  • 二又合流点で二班に分かれ釣り開始・・・渇水で底まで丸見え状態の沢を釣る。ポイント毎にイワナは釣れるものの、日帰り領域だけにサイズに不満が残る。これが里山キャンプ釣行の最大の欠点である。
  • チョウチン毛バリに食いついたイワナ・・・側線付近に薄い橙色の着色斑点があるニッコウイワナ。全体的に斑点が鮮明で美しい魚体。
  • エサでも毛バリでもイワナの食いは抜群だが、尺前後のイワナは皆無。恐らく、釣り人に攻められ続けているので、大物はいたとしても殊の外警戒心が強いのであろう。 
  • やっと刺身サイズのイワナが毛バリに食らいついた。
  • クマがエゾニュウを食べた痕跡
  • ニリンソウ
  • オオバキスミレ
  • ミヤマカラマツ
  • ヤグルマソウ
  • ブナの実
  • 天然秋田スギ
  • いつものことだが・・・上流に釣り上がるにつれて、イワナのサイズはワンランクアップした。まだ午後1時だったが、充分な釣果に達したので早めに竿をたたむ。
  • 大きくなったウド・・・脇から出てきた新芽は軟らかいので食べられる。天ぷらに最適。
  • 本流班は・・・昼飯を食べるまでは、何と、全く釣れなかったという。午後から奥に進むにつれて尺イワナを含む良型イワナが入れ食いで釣れた。帰路、枝沢を上るとイワナがあちこちに走ったという。釣り人に見過ごされた小沢は、時に大釣りすることがある。
  • イワナの刺身・・・尺物を含む旬のイワナ6匹を刺身に。〆てから残雪を入れてきただけに、鮮度抜群であった。 
  • イワナの唐揚げ  
  • ウドの脇芽の天ぷら 
  • 湯がいたウド・・・酢味噌和えでいただく
  • アザミの茎
  • ヤマワサビの粕漬け(副会長特製) 
  • ミズの塩昆布漬け 
  • クマが最も好きなネマガリダケの「タケノコ」
  • 食べきれないほどの山の恵みを囲んで乾杯。 酒は5合の紙パック3本を飲み干し、ウイスキーにまで手を出す始末。お陰で飲み過ぎてしまった。酩酊状態でシュラフに潜り込む。夜は、さすがに冷え込みが厳しく、夏のシュラフでは寒くて眠られなかったようだ。
  • 二日目・・・今回のメイン、険谷の源流をめざす。本流との分水尾根を下る。 
  • ウラジロヨウラク
  • シャクナゲ
  • オオカメノキの実
  • アカマツの皮剥ぎ・・・クマだろうか?
  • 急な坂道が続くマイタケ道を辿って、本流へ。本流へ下りたところで、お湯を沸かす時に欠かせないヤカンを忘れたことに気付く。それは、テン場に引き返せのサインであった。
  • V字峡谷が続く険谷の岩魚谷は、ほどなく巨大な雪渓が行く手を阻む。 
  • 両サイドから滑り落ちた雪崩は、峡谷を埋め尽くし、なかなか解けない。今冬は、とりわけ雪が多かっただけにその量は半端じゃない。下流部で、これだけの大雪渓が残っているということは、標高の高い奥地は、雪渓の連続で竿を出す場所がないであろう。あっさりギブアップせざるを得なかった。 
  • テン場まで戻り、忘れたヤカンを背負って、昨日釣り上がった上流部に向かう。
  • 幸先よく刺身サイズのイワナが釣れたが、落差が増すにつれてイワナのアタリは遠くなる。上流部は、昨夏の記録的大雨の被害が著しく、倒木や土砂崩れが目立つ。源流部は、イワナの気配がほとんどない。恐らく、イワナは濁流と一緒に下流に流されてしまったのであろう。回復するには、相当の時間を要するであろう。 
  • オオバクロモジの花
  • ベニイタヤの花
  • クマがエゾニュウの芯を食べた痕跡。日中は曇天で、気温が異常に低かったので雨合羽をはおる。滝下で昼食をとったが、山から吹き下ろす風は殊の外冷たく、震えながらカップラーメンを食べた。
  • 山の恵みを採取しながら下る・・・雪解け間もない場所に生えたヤマブキショウマ(上の写真)の若い芽を選んで摘む。他にマスタケ、アザミの茎、タケノコを採る。
  • 崩壊林道には、クマの糞が3ヵ所もあった。上の写真は、最も新しい糞。繊維質で黒くベトッとしているので植物食であることが分かる。崩壊して久しい林道は、完全にクマ道と化しているのが分かる。 
  • ホオノキの花
  • ミネカエデの花
  • ニワトコの花
  • タラノキ
  • コシアブラ
  • タニウツギ
  • バッコヤナギの実・・・種子は線状長楕円形で、白い綿毛に包まれる。
  • 盛大な焚き火の傍らで、山の恵みを調理する。 
  • 倒木に生えていた極上のマスタケ・・・大きくなると硬くボソボソになるので、柔らかい幼菌のうちに収穫する。その判別法は、マスタケを指で押さえ、耳たぶくらいの柔らかさであるものを選んで採る。
  • マスタケの醤油炒め 
  • マスタケの唐揚げ 
  • ヤマブキショウマ 
  • アザミの茎 
  • 枝豆 
  • イワナの唐揚げ 
  • 貧果になっても山の恵みは山ほどある・・・二日目のヒットメニューはマスタケ。砂糖を加えた醤油炒め、唐揚げとも、キノコとは思えない味と食感で、名前のとおり「サケ」のような味で絶品であった。  
  • 三日目の朝・・・今朝も野鳥の囀りで目が覚める。「ホッホォ、ホッホォ」と囀るアオバズク、「ピョー、ピョー、ピョー」と、笛のような大きな声で鳴くアオゲラ、朽木を叩くドラミング、「ジェー」と鳴くカケス、「ツー、ツー、ピー」と鳴くヤマガラ、「ツピンツピン、ツピン」と連続して鳴くヒガラなどのカラ類・・・。見上げれば、ブナの実は、豊作(上の写真)のようだ。ブナ帯のテン場は、多様な野鳥たちのBGMが聞こえるので楽しい。
  • 里山キャンプ釣行その2・・・イワナは、例え貧果に終わっても、山の恵みは山ほどある。苦行を厭わず猪突猛進するのは若者の特権だが、高齢者になれば、年相応に山を歩きながら心身共にリフレッシュする「ワンランク下の山釣り」もまた楽しいものである。 

山釣り紀行TOP

inserted by FC2 system