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春なのに真夏のような山釣り
  • 2019年5月下旬、パーティ5名で内陸部のイワナ谷に向かった。気象ダイアリーによると、県内陸部の最高気温は、1日目は25℃、2日目は何と30℃、3日目は32℃と二日間にわたって真夏日が続いた。こんなことは、山釣り人生35年で初めての珍事。秘渓の岩魚谷は、今年も一番乗りだった。ところが、無垢なはずのイワナの反応は、これまで経験したことのない奇妙なものだった。今でも何故なのか、その理由が分からない。(写真:丸々太った尺イワナ)
  • ウワミズザクラ 
  • ヤマツツジ 
  • 途中、山で食べるワラビを採る。 
  • ホオノキ
  • ハリギリ 
  • ニワトコ
  • キバナイカリソウ
  • ヒメアオキの赤い実と雌花
  • ヒメアオキの雄花
  • ヤマカガシ・・・アズマヒキガエルでも丸呑みしたのか、胴体が異様に膨れていた。 
  • タケノコ・・・ザックを下ろし、チシマザサの中を覗くと、ちょうど出始めのタケノコが土から顔を出していた。クマも好きだが我々も大好きなタケノコだけに、小躍りしながら採取する。 
  • サンカヨウ
  • オオバキスミレ
  • ユキザサ
  • コシアブラ
  • ゼンマイ
  • ちょっと伸び過ぎたウド
  • マルバアオダモ
  • オオカメノキ 
  • 午後2時過ぎ、酒の肴調達に出掛ける。ちょうど雪代がピークの時間帯で、いつになく水量が多く流れも速い。オモリを重くし、底の岩陰に隠れているイワナを誘うようにエサを流す。すると刺身サイズのイワナがエサに食らいついた。
  • 刺身サイズのイワナ
  • またしても刺身サイズのイワナ・・・ちよっと合わせが遅れると、針を喉の奥まで飲まれた。こうしたサイズが入れ食いで釣れるということは、この中流部も今年一番乗りか。
  • サビイワナ・・・頭だけでなく、全身サビがとれていないサビイワナ。わずか数百メートルで、今晩の酒の肴には充分の釣果があった。竿を畳みながら、明日の源流部はイワナ天国間違いなしだと思ったのだが・・・
  • 5人分の刺身用イワナ
  • 5人分の刺身
  • 頭と骨は、焚き火で燻製にすれば、味噌汁用の出汁に最高である。
  • イワナの唐揚げ 
  • 今年初物のタケノコ 
  • 山釣り定食で乾杯、言うことなし 
  • 酩酊してシュラフに潜ったものの、余りの寒さに眼が覚めた。下界では暑さが続いているが、山の夜はやっぱり寒い。スリーシーズン用のシュラフだが、上下の雨合羽を重ね着するとちょうどいい具合だった。今考えると、夜半から朝にかけての異様な冷え込みは、猛暑の兆しだった。
  • 二日目・・・雲一つない快晴。ヤブと化した杣道を1時間ほど歩き、谷に下りる。 
  • トチノキ
  • サワグルミ
  • クマの糞 
  • シラネアオイ 
  • 今日は暑くなりそうな予感がしたので、奥で釣れたイワナの鮮度を保ちのは難しいだろう。そこで滝を高巻く前に、刺身用のイワナを生かしたまま確保するため、釣りながら上流へ向かった。
  • 刺身用のイワナは、種もみ用の網袋に入れて生かしたまま滝下にデポする。
  • 見上げれば、真夏のように強い陽射しが照りつけ、気温はグングン上昇。滝下でちょっと遊び過ぎてしまった。
  • ザイルを使いながら難所の滝を大きく高巻く。
  • 谷に下りて時計を見ると11時を過ぎていた。30度近い真夏の気温に対して、水の中は雪代も加わって冷たい。その大きな温度差は、イワナたちにとってもこれまで経験したことのないものであったはず。
  • ダマさんがエサ釣りで釣り上げたイワナ・・・エサを流すと、エサをくわえたまま上流に走る。合わせると釣れるはずなのだが、掛からない。掛かったとしも、浅掛かりで逃げられるケースが続出。そこで、遅合わせに徹してやっと釣り上げたイワナである。
  • テンカラはどうか。毛バリを流してもイワナは一向に出てこない。チョウチン毛バリに切り替えて、毛バリを水面で躍らせたり、逆引きしたりしながら誘う。すると毛バリに反応するのだが、一向に毛バリを呑み込むまで至らない。そこで毛バリにブドウ虫をつけた「半チョウチン毛バリ」にすると、やっと釣れたのが上の写真だ。今年、釣り人が入った形跡は皆無にもかかわらず、この反応の鈍さには驚くほかない。
  • 粘って釣り上げると、顔の割に魚体が大きく、丸々太っている。エサが豊富で成長の速さを物語る個体だ。いつものイワナと変わらない丸太イワナなのだが、毛バリやエサに対する反応の鈍さは解せない。
  • 極太のゼンマイ・・・プロでも、泣いて喜ぶほどの極上ゼンマイが至る所に群生している。 昔なら、こうしたゼンマイ谷に小屋を建て、一日100キロほど採っては湯がき、青干し(焚き火乾燥)あるいは赤干し(天日乾燥)ゼンマイにしたことだろう。そんな想像をしたくなるほど、一面ゼンマイが生えている。
  • 里での話のネタに、太いゼンマイをちょっとだけ採取する。
  • ニリンソウ 
  • ミヤマカタバミ 
  • キクザキイチゲ 
  • ヤマワサビ 
  • 行く手を阻む巨大スノーブリッジ ・・・至る所にある残雪や早春の草花たちを見ていると、1ヵ月前に時計が戻ったような錯覚に陥るが、気温は何と30℃の真夏日。地球温暖化とは言うものの、歳をとるとこの激変についていくのは容易でない。冷水を好むイワナにとっては、我々以上に過酷であろう。
  • 滝を高巻く
  • リュウキンカが咲き乱れる沢辺で遅い昼食・・・気温も雪代もピークになってきたので、昼食後は毛バリを諦め、エサ釣りに切り替える。
  • 丸太のような尺イワナ、奇妙なアタリに戸惑う・・・カーブ地点の瀬にエサを流す。瀬尻でエサをくわえたイワナは、猛烈な勢いで上流に走った。100%掛かったと思い合わせると、水面まで顔を出す前に外れてしまった。水面下に尺イワナが見えたので、未練がましく、同じラインを流してみる。意外にも同じイワナがエサをくわえた。上流に走ったところで合わせると、またしても簡単に空振り。どうもエサだけくわえているようだ。エサをつけ直して、ダメ元で同じラインを流してみる。何と、また同じ位置の瀬尻でエサをくわえた。上流に走っても合わせず、道糸を緩めて様子をみる。針は喉の奥まで飲まれるほど間を置いてから合わせると、やっと尺イワナが掛かっていた。それでも針は、飲まれることなくベストタイミングの上顎に掛かっていた。
  • 尺イワナは警戒心が強いから、そこまで成長できる。なのに外しても、外してもエサをくわえるということは、全く釣り人を警戒していないことは明らか。とすれば、常識的には一発で釣れるはずだが、なぜエサだけくわえて針をくわえないのか。その理由がよく分からない。いつもと違うのは、真夏の高温と雪代という珍事である。これがイワナの捕食行動に影響を与えたのだろうか。
  • ヤマワサビ畑・・・白い花を咲かせたワサビ畑が眼の前一面に広がる。
  • 午後2時納竿。イワナの鮮度を保つために残雪を入れて背負う。
  • 春なのに真夏日が続くと、無垢なるイワナでさえ、常識的な釣りが通用しなくなる。その理由はどうあれ、野生のイワナとの駆け引きは、これまでにない面白さがあった。イワナは「足で釣れ」 と思っていたが、時にそうした固定観念は捨てろということか。

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