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超楽チンな山釣り~黄金の尺イワナ

 2019年6月上旬、数年振りに黄金イワナが棲息する岩魚谷に向かった。かつてこの谷は、日帰り釣り定番の釣り場であった。現在、林道が災害で壊れ、かなり手前から歩かねばならない。しかし、道なき道をゆく沢登りに比べれば舗装道路を歩くようなもの。そんな超楽チンな山釣りでも、魚止めの滝では34cmの黄金イワナが釣れた。今から30年ほど前なら考えられないことだ。
  • ケナシヤブデマリ・・・・オオカメノキとケナシヤブデマリは、非常に似ている。見分け方は、ケナシヤブデマリの装飾花は、5裂するが、裂片の1個だけが極端に小さく、一見4裂しているように見える。また、オオカメノキの葉の基部はハート形に窪むが、ケナシヤブデマリは窪まない
  • カンボク・・・白い装飾花は、オオカメノキやケナシヤブデマリ、アジサイなどと似ている。見分け方のポイントは、特徴的な葉の形。カンボクの葉は、3つに裂けているので簡単に識別できる。 
  • タラノキの大群生・・・かつて伐採された杣道沿いには、先駆植物であるタラノキがやたら群生していた。春、タラノメを採るには最高のフィールドである。 
  • モミジイチゴ・・・野生のイチゴの中で最も美味しい。この種も先駆植物で、スギの造林地に卓越して優占する。クマの大好物でもある。
  • 途中、ワラビやタケノコを採りながら岩魚谷に向かう。 
  • シロバナニガナ
  • ハナニガナ
  • 大きなサワグルミの木の下にテン場を構える。垂れ下がっているのは翼のある果実。翼があるとは言うものの、さほど飛ばない。むしろこの中はコルク状で、水に何週間も浮く特徴がある。渓流に落下した種子は、下流に流され種子散布される。 
  • テン場の条件・・・今回は以下の4点を全て満足するベストなテン場であった。
    1. 水場が近く、洪水時にも安全な場所であること
    2. テントを張る範囲が平らであること
    3. 焚き火用の薪を確保できる風倒木が充分にあること
    4. イワナを焼く際に使う竹串・ネマガリダケを確保できること
  • ワラビのアク抜き・・・指先で先端部分のホダをとる。大きめの容器にワラビを並べる。重曹をふりかけ、熱湯をワラビが完全に隠れるまでムラのないように全体に回しかける。蓋をしてそのまま翌朝まで置く。翌朝、アク水を捨て、ワラビを冷水の中につけて数回水をとりかえるか、1~2時間流水にさらしてから使う。現場では、午前中に熱湯をかけると、多少アクは残るものの夕方には食べられる。
  • 下流部を釣る・・・小滝が連続する下流部は、いかにも岩魚谷という雰囲気満点だが、かつては、イワナのアタリどころか、魚影すら見えなかった区間である。林道崩壊によって、イワナが蘇っていたのには驚かされた。 
  • 連日好天が続き、雨不足・・・イワナ釣りには最悪のコンデションだったが、何と第一投目で刺身サイズが釣れた。しかも丸々太っていた。 
  • 入れ食いとまではいかないが、釣れると刺身サイズが多いので満足。不思議なのは、虫がほとんどいないこと。例年なら頭から防虫網を被らないと釣りにならないのだが、全くその必要はなかった。少雨で羽化する虫が少ないのだろうか。
  • あっという間に4人分のイワナを確保したので早々と納竿。やはり林道が崩壊すると、イワナは増える。それから言えることは、歩く距離が長くなればなるほど訪れる釣り人は減少する。つまり釣り人が少なくなれば、イワナが増えるということか。 
  • タニウツギ 
  • ミヤマカラマツ 
  • ヒメアオキの赤い実 
  • ウゴツクバネウツギ 
  • テン場周辺の樹木:ハクウンボク・・・白い花が連なって咲くようすを、「白雲」に見立て、「白雲木」と書く。団扇のような丸い形の大きな葉は、直径20cmにもなり、良く目立つ。 
  • ヤマモミジ 
  • ミズナラ
  • トチノキ
  • ミズキ 
  • シナノキ・・・皮は野良着に利用された。
  • ヤマグワ・・・古くから養蚕用に栽培された。
  • ワラビのおひたし 
  • 玉ねぎとキュウリのサラダ 
  • イワナの唐揚げ 
  • タケノコ
  • 山釣り定食で乾杯 
  • 今夜から雨が降る予報だったが、降る気配はなかった。酩酊してシュラフに潜り込む。翌朝起きると、小雨が降っていた。しばらく降っていなかったので恵みの雨であった。 
  • 昨日納竿した場所まで1時間、一気に歩き竿を出す。恵みの雨とは言え、小雨に過ぎず、山に滲みる程度。虫もほとんど飛んでいない。故にエサ釣りに徹して釣りあがる。
  • 釣れてはくるものの、若干サイズが小さい。荒釣りしながら源流部をめずす。 
  • 巨岩が連なるゴーロの階段を釣る。 
  • 時折、泣き尺イワナも釣れる。気温が高いので、鮮度が落ちるのも早い。生かしたまま種もみ用の袋に入れてデポする。 
  • いよいよゴルジュ帯に突入。かつて狭い廊下は、腰まで浸かって通過したが、今は土砂で埋まって楽チンだった。 
  • ゴルジュ帯を抜けると、サイズはワンランクアップ。しかも丸々太っている。 
  • この谷のイワナは、いずれも斑点は小さいのが特徴。無着色斑点のアメマス系と橙色の着色斑点をもつニッコウイワナが混生している。 
  • 上から見ると、頭部は虫食い状の斑紋、背中から側線にかけて星屑のような斑点に彩られている。 
  • 昼食後、上二又の左の沢に入る。巨岩が積み重なる急階段のゴーロは、イワナが不在であった。災害が発生するほどのゲリラ豪雨で源流部は渓相が大きく変わっている。 
  • 尺イワナ・・・ゴーロの急階段が終わったカーブ地点の瀬尻で尺イワナがヒット。丸々太り、精悍な面構えをしたオスイワナであった。さらに全身が黄金色に染まった黄金イワナだ。嬉しさのあまり、写真を撮りまくる。しかし暴れるイワナは、なかなかポーズをとってくれない。生かしたままイワナを撮るのは、何度やっても難しい。 
  • 魚止めの主を釣る・・・ほどなく三段の魚止め滝に到着。滝壺は土砂で埋まったのか、ちょっと浅い。滝の流れが落ち込む筋に何度も流すが反応がない。ダマさんは、ついに落ち込みを諦め、右側の流れが全くない岩穴にエサを投入した。まさか、と思ったが、いきなり竿が弓なりになった。逃がしてはならずと、超硬調の竿の威力を活かして一気に引き抜く。デカイ!
  • 黄金イワナ34cm・・・全身黄金色に染まった美形の尺イワナ。こんなイワナを手にすれば、釣り人冥利に尽きる。今年は雨が少なく超渇水状態が続いている。こんな時、大物が浅瀬でウロウロしていれば、天敵に襲われる確率が高い。故に岩穴に隠れていたのであろう。
  • これまで経験したことのないほど超渇水状態が続いている場合は、瀬中心のポイントだけでなく、岩穴を探るポイントを攻めることも必要だったように思う。
  • ちょうど食べ頃のマスタケ・・・触ると耳たぶのように軟らかい。ただし根元の濃色の部分は硬いので、その部分を除去して調理するのがベスト。 
  • イワナの刺身
  • 塩焼き用イワナ 
  • 頭と骨は、焚火で燻製に・・・味噌汁用の出汁に使えば、素晴らしい出汁が出る。もちろん骨酒にも使える。だから決して捨ててはいけない。 
  • マスタケの炒め物
  • 焚火で燻製にしたイワナ
  • キウイ入りマッシュポテト 
  • 山釣り定食で乾杯
  • 三日目は快晴。
  • モミジイチゴの葉にできた虫こぶ・・・フシダニの一種・キイチゴハケフシによる虫こぶ。
  • ヤマグワの果実・・・はじめ赤く、次第に黒く熟し生食できる。この果実を見れば、おやつ代わりに夢中で食べていた子ども時代を思い出す。 
  • ミズ畑でミズを採取し、車止めに向かう。有り余るほどの山の恵みを授けてくれた山の神様に感謝、感謝である。ミズを採取する二人は、いずれも70代の高齢者。疲れた、腰が痛いと言いながら、重い荷を背負ってミズを採る。心身共にリフレッシュしたことは明らか・・・やっぱり岩魚谷を歩くのは楽しい。 

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