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2019最後の山釣り~マイタケは様子見が続く

 2019年9月中旬、最後の山釣りはマイタケ山の源流部に向かった。被災した林道の一部が復旧されたとは言え、奥地のテン場まで約9km。2泊3日の荷を背負って歩くには遠い。テン場初日、1時間ほど周辺のミズナラを探ったが、マイタケの気配はゼロ。これ以上険しい斜面を歩く体力も残っていなかった。思えば、連日、30℃前後の高温が続き、雨もほとんど降っていない。稀にマイタケに当たった人がいたようだが、それは極々一部に過ぎない。帰りに直売所を覗くと、天然マイタケの張り紙の上には・・・何とトウモロコシが乗っていた。笑うに笑えない光景であった。マイタケは、しばらく様子見が続くであろう。
  • 2017年に被災してから2年・・・林道は両サイドからススキの群落が迫り出し、バイク一台が通るのがやっとの状態。マイタケマンのほとんどは、車止めからバイクか自転車を使って移動している。そんな中、車止めから奥地まで全て歩き通す強者もいる。これには驚くほかない。「釣りバカ」とはよく言われるが、「舞茸バカ」はそれを遥かに凌ぐ不思議な世界だとつくづく思う。 
  • パーティは3名・・・人数が少ない分、背負う荷は重い。時々大休止しながら牛馬のごとく歩き続ける。額から汗が滴り落ちる。こうして体に負荷をかけて山を歩くこと数時間。下界では、心身共に不調を感じていても、山から帰ると、不思議とココロもカラダもリフレッシュしているのが分かる。65歳を過ぎると、これが私にとっての山釣り健康法だと、つくづく思う。
  • 例年なら、9月中旬の連休は、マイタケシーズンに突入しているが、訪れるマイタケマンの数は意外に少ない。それはマイタケがまだ出ていない証左でもあろう。 
  • 崩壊林道から小沢を下ってマイタケ沢に下りる。途中、3年前に採ったキノコ木を見上げたが、生えている気配なし。
  • 滝の右岸を巻いた上流の左岸をテン場とする。老人クラブが歩くには、ちょっとハード過ぎた。既に体力を使い果たしていたが、イワナ釣りは二人に任せて、私はマイタケを探しに尾根に向かう。 
  • ミズナラの巨樹が林立する尾根から尾根を歩く。わずか1時間歩くだけで、既に体力は限界に達していた。もちろん、マイタケが採られた跡も、マメすらも発見できなかった。数時間探し続ければ、マグレでマイタケに当たったかも知れないが、大当たりの確率は限りなくゼロに近い。
  • マイタケ山を望む・・・ミズナラの根元に腰掛け、大休止しながらマイタケ山の絶景を拝む。イワナとマイタケ・・・「二兎を追う者は一兎をも得ず」の諺を思い出す。そもそも、マイタケの世界は、マイタケ一本に絞って、丸一日山を立体的に探し続けたとしても、なかなか当たらない世界だ。明日は、マイタケは諦め、イワナ釣りに専念するほかない。
  • ウスヒラタケ・・・ブナの倒木に生えていたウスヒラタケ。若い旬のものを選んで採取する。 
  • 相棒二人の釣果・・・31cmの尺イワナと28cmの良型を含む3本。食いは余り良くなかったらしい。それもそのはず、連日30℃前後の残暑が続き、沢は超渇水状態であった。
  • 沢岸で生きているイワナを野ジメにして、大きな岩の上に置く。イワナにメジャーを当てて写真を撮ろうと、ザックに入っていたメジャーをとって戻る。何と、尺イワナが姿を消していた。シメたはずの尺イワナが、最後の力を振り絞って岩の上で跳ね、流れの中へ消えてしまったのだろう。その生命力に脱帽せざるを得なかった。
  • 本日の食材は、イワナ2本とウスヒラタケ
  • 秋の山釣り定食・・・イワナの刺身、唐揚げ、卵の酢醤油和え、ウスヒラタケの味噌汁、マッシュポテト、サラミなど。焚き火を囲み、延々山釣り談議に花が咲く。日中は暑かったが、山の夜は意外に寒かった。
  • 翌朝、「チィー、チィー」という小鳥の声で眼が覚める。テントを出て観察すると、メジロが低木類の小枝から小枝へと活発に移動しながら昆虫やクモを捕らえているようだ。
  • 二日目、超渇水のマイタケ沢を釣る。超渇水となれば、イワナに気付かれないように遠くへ飛ばして釣るしかない。オモリは一切つけず長い仕掛けと、小さなウキで遠くへ飛ばし、瀬の水面をナチュラルに流すウキ釣法でやってみた。しかし、ほとんどアタリがない。
  • 不思議なことに、瀬尻からイワナが走る魚影が全く見えない。一見、イワナはいなくなったのでは、と疑いたくなるほどイワナの気配がない。恐らく、浅瀬は水温が高く、外敵に襲われる危険が高い。水深の深い岩穴に隠れているのであろう。 
  • 深場の岩穴周辺を狙う。水面上にエサを浮かせて躍らせ誘う。すると、岩穴から水面に躍り出て、やっとエサに食らいついたイワナ。腹部が柿色に染まったニッコウイワナ。
  • 長い間、暗い岩穴に隠れていた証・・・まるで早春のイワナのように、全身が黒くサビついたイワナ。こういうサビイワナが釣れるとは、驚くほかない。
  • 秋渓を彩る花その1:トリカブト・・・花のツボミと満開の花が一緒に連なっていたので撮影。
  • 秋渓を彩る花その2:ダイモンジソウ
  • キツリフネ・・・黄色の中に白い花が混生していた。全て白色のものは、白花ツリフネソウと呼ぶらしい。しかし、上の写真は、キツリフネと混生していて、花びらは白いが細長い筒の部分だけが黄色い。黄色から白へと変化するのだろうか。   
  • イワナのサイズは、8~9寸前後と良型イワナがヒット。  
  • いよいよゴルジュ帯に突入・・・ここからサイズがワンランクアップし、入れ食いになるはずと思っていたが、依然アタリは遠い。今年の異常気象が影響しているのか、あるいは釣り人に乱獲されたか、いずれかであろう。 
  • やっと釣れた黄金イワナ
  • 水量は少ないものの、清冽なマイナスイオンを放つ小滝が連続・・・歩くだけでも心身ともに清々しい気持ちにさせてくれる。イワナを追って谷を歩くのは、やっぱ楽しい。
  • 滑りやすい岩場には、マイタケ採りの人たちが使った虎ロープが数ヵ所あった。お陰で際どい巻きも楽々通過。
  • 最後に釣れたイワナ・・・大きな滝まで行くつもりだったが、その前に仕掛けがからんでしまった。これは「止めろ」という山の神様のお告げであろう。竿を畳み、デポしたイワナを回収しながら沢を下る。
  • 急峻な尾根筋を見上げると、マイタケが生えそうな半枯れミズナラの巨木が無数に林立している。マイタケの期待があれば、斜面を攀じ登るのだが、そんな気持ちは全く起きなかった。ただただマイタケ山の素晴らしい森林美を観賞しながら、ゆっくり下る。
  • 渓流の素潜り名人「カワガラス」・・・私たちをテン場まで案内してくれた水先案内人はカワガラス。水面上を泳ぎながら、頻繁に潜水して水生昆虫を捕食していた。上の写真には、3匹のカワガラスが写っている。子育ては終わっているはずだが、なぜ3匹一緒に行動していたのか不明。
  • ミヤマガマズミの赤い実
  • シラネセンキュウ 
  • ミズのコブコ・・・今晩のオカズ用に採取 
  • 昨夜は寒かったが、今夜は異常に暑い。山も異常気象が続いていることを実感する。2019年最後の山釣り定食を肴に乾杯!何度やっても楽しい源流酒場だ。
  • 三日目・・・テン場を片付け、いざ出発という10時頃、5人組のマイタケマンに出会う。「採れましたかぁ」と聞くと、3年前にも出会ったマイタケマンであった。彼らによれば、ナガレのマイタケが一ヵ所、マメが少々だけとのこと。やはり、本格的なマイタケはまだまだのようだ。 
  • 帰路、この奥地でオフロードを走れるバイクの音を何度も聞いた。この荒れ放題の林道をバイクに乗ってやってくる強者の多さに驚かされた。地球温暖化による記録的豪雨と林道崩壊の時代・・・イワナもマイタケも、オフロードのバイクにはかなわない。そんな新たな時代の到来を感じた。
  • 「少々当たった」というバイクに乗ったマイタケマン・・・ザックの膨らみを見れば、満杯ではないことは確か。 
  • 昨年出会った強者マイタケマン二人組・・・バイク優占のマイタケ採りが横行する時代、彼らは車止めから最奥のマイタケ山まで歩き通す。さらに空振りが続出する中でも、二人はマイタケを背負って下って来た。驚くほかない。ただし、プロも素人も含めて、マイタケフィーバーの到来を夢見て、しばらく様子見が続くであろう。  

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