2020初の山釣り
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2020年5月1日~3日、4名のパーティで定番の岩魚沢へ向かった。山菜シーズンの到来を告げる新緑と斜面を彩るニリンソウの花も咲き始めていた。例年なら、アイコとシドケが同時に出てくるはずだが、今年は違っていた。今春の異常気象を象徴するかのように、奥地のシドケは最盛期を迎えつつあったが、アイコの出がすこぶる悪かった。 |
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- 新緑の谷を流れる清流は、雪代も加わり笹濁り状態で水嵩も増していた。杣道沿いの山野草を撮影しながら上流へ。
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- 車止めから歩いてわずか30分余り・・・超楽チンな場所にテン場を構える。
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- 苔蒸す右の沢は、雪代の気配が全くなく水量が少ない。楽をした分、アタリが遠い。
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- やっと私にイワナがヒット。雪代が終わったにもかかわらず、魚体は黒くサビついたまま。これは、釣り人から隠れるように暗い岩穴に潜んでいるからであろう。
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- ダマさんにもやっとヒット!・・・ところが、これ以降、ダマさんの釣果は何とゼロ。「イワナは足で釣れ」と言われるが、高齢化すれば肝心の足が年々衰える。それだけ釣果も落ちざるを得ないのが現実だ。
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- 食い気のないイワナを釣るには、二つの方法がある。一つは、市販のエサではなく、現地採取の水生昆虫を使うこと。早春は水も冷たく採取に時間がかかるのでパス。残る方法は、諦めずに粘るほかない。気配をできるだけ殺し、イワナの食い筋に何度も流して粘る。すると、イワナはこらえ切れずにエサに食らいつく。
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- またしても粘り戦法で釣り上げたイワナは、真っ黒にサビついていた。
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- 釣り上げられたイワナは、逃げようと必死に暴れ続ける。そんなイワナを撮るには、おとなしくなるまで待つほかない。落葉に眼が隠れると、不思議とおとなしくなる。その間にカメラのシャッターを押す。
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- 苦戦はしたものの、今晩食べるには充分の釣果であった。
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- 今晩の刺身用のイワナ・・・4匹とも、全身が黒くサビついている。
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- 春の山釣り定食で乾杯・・・焚火と山釣り定食を肴に飲み語らうのは久しいだけに、ついつい飲み過ぎてしまった。反省、反省!夜、雨が降り続いていたので、本流は濁り、かなり増水していた。
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- 二日目も曇天。当初は、本流を渡渉し、大滝より竿を出す予定であった。源流の山々は、まだ残雪で白くなっている。雨と雪代を考えると、川通しに歩くことは危険極まりない。二人は、杣道ルートに切り替えて、ミズナラとブナの巨樹が連なる尾根を直登し、杣道ルートに向かう。
- 心臓破りの急坂は、落差100mほどある。高齢者で、かつ二日酔いだけにきつい。何度も休みながら登り続ける。
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- やっと杣道に達すると、真新しい赤い目印があった。以降、我々が向かうルート沿いの要所要所に赤い目印が付けられていた。しかも戻ったような足跡がない。それでも我々よりもっと奥地に向かっていると楽観し、上りが続く杣道を歩き続ける。
- 中間地点の水場は、土砂崩壊で埋まり、一滴の水も流れていなかった。
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- 最後の急坂を登り切り、やっとの思いで降り口地点に辿り着く。何と、真新しい目印は、我々が下る沢筋に向かって延々と付けられているではないか。我々が目指す場所に、先行者がいることは明らか。イワナ釣りはできなくとも、沢の様子見と山菜採りに切り替え、目的地点に向かって一直線に下った。
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- 背丈が伸びたトリカブトの大群落と、白い花をつけた背丈の低いニリンソウの群落が連なる斜面を下る。途中、斜面には食べ頃のシドケがたくさん生えていた。
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- 歩き始めて約2時間、やっと目的地点に辿り着く。予想した通り、二人組がテン場を構えていた。聞けば・・・二人は昨日きたが、今日、遅れて来る人のために、赤い目印をつけてきたという。
- とりあえずお湯を沸かし、コーヒーを飲みながらパンとチョコで元気回復。轟音を放つ流れは、昨夜の雨と雪代で対岸に渡渉できないほど荒れ狂っていた。これじゃ釣るポイントもほとんどない。
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- 先行者に、「釣りにならないだろうが、様子見に行ってくる」と、断りを入れて上流に向かう。
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- 右岸の巻道からゴルジュ帯を覗くと、白泡渦巻く怒涛の流れが連なっていた。これじゃ渡渉どころか、釣るポイントはゼロだ。このゴルジュ帯を抜けると、穏やかな河原となる。しかし、対岸に渡渉せずに釣る区間は、わずか100mほどしかない。せっかく来たので竿を出してみる。
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- 雨と雪代で濁り、かなり増水していたから、イワナたちは、わずかな淀みに避難していた。こういう時は、臭いと動きで誘惑するミミズが「魔法のエサ」となる。一投目で、丸々太った泣き尺サイズのイワナがヒット。雪代の洗礼を受けて、黒いサビは完全になくなったいた。やはり本流イワナは美しい。
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- 同じポイントへ第2投目・・・またしても丸々太った良型イワナがヒット。こういう場合は、同じ淀みにイワナたちが大挙避難していることは明らか。
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- 同じポイントでイワナは4匹も釣れた。対岸への渡渉は、無理をすれば渡れそうだったが、あっさり竿を畳む。釣る時間はわずか30分、二人の釣果は計8匹・・・今晩の肴に充分の釣果であった。
- 途中、先行者のテン場まで戻ると、一人が留守番をしていた。聞けば、リーダーは、後から来る人を迎えに行ったという。「明日帰るんですか」、と聞けば、何と4泊5日だという。新型コロナの影響で何もすることがないからだという。何とも羨ましい山ごもりだ。
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- ゴルジュ帯右岸の斜面は、ちょうど食べ頃のシドケが群生していた。
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- 楽しい山菜採り・・・茎の太い極上のシドケが群生しているだけに楽しい。
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- 砂地についたクマの足跡・・・斜面に萌え出たバッケやアザミ、ミズなどを食べていたのであろう。上を見上げれば、やっとブナも芽吹き始めた。今頃は、日当たりの良いブナの木に登って、軟らかい若葉を貪っていることだろう。
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- シドケの群生・・・シドケは、至る所に出ていた。ところが・・・
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- アイコの出が遅い・・・例年、アイコが生える斜面を歩いてみたが、ほとんど出ていない。わずかに出てきたばかりのアイコを撮る。4月は、最高気温が10℃前後と低く、15℃以上の日がほとんどなかった。奥山ならもっと低い。その気温の低さが、アイコの出を遅らせているのであろう。
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- 帰る途中、迎えに行った二人と出会う。しばし立ち話をしたが、山の哲学は我々とほぼ同じ、共感するものが多くついつい長話になってしまった。東北の沢は、ほとんど歩いているという。何とも羨ましい人生だ。
- 標高差100m~200mものアップダウンが続く杣道ルートは、行きと帰りを合わせて4時間。高齢者の心臓はバクバクである。しかし、この「苦しみ」があるからこそ、「喜び」も大きい。
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- 茎が太く、上質なシドケを採取・・・サイズ別に束ねて、新聞紙にくるむ。山菜や釣ったイワナの鮮度を保つには、新聞紙が一番だ。
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- 3日目は快晴・・・下流部は、萌黄色の新緑にひと際映えるオオヤマザクラが満開。まさに春紅葉真っ盛りとなった。
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- 3日間お世話になった山の神様に感謝しながら、車止めをめざす。
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- 「春の女神」と称されるヒメギフチョウを狙って、あちこちのカタクリ群落を訪れている。しかし、今だ一度も会っていない。やむを得ず、カタクリ群落の雑木林にやってくる鳥を撮るほかない。
- オオルリ・・・枝先から谷間の上空に飛び出し、昆虫類をフライングキャッチで捕食する。
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- カタクリ群落の美を鑑賞するアカゲラ・・・木の幹に縦にとまり、クチバシで幹を叩いて中にいる昆虫やその幼虫を食べる
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- カケス・・・数羽の集団が地上に降りて、落葉の下にいる昆虫などを捕食していた。二羽が仲良く並んで行動していたのでツガイだろうか。
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- 色鮮やかで美しいキビタキ・・・空間の開けた明るい落葉広葉樹林で、飛ぶ虫をフライングキャッチで捕らえる。
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- シロハラ・・・雑木林の茂みで昆虫やミミズを捕食していた。
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- クロツグミ・・・クチバシで落葉をひっくり返しながら昆虫やミミズを捕食していた。
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- ウグイス・・・藪の中を枝移りしながら活発に移動し、葉にとまる昆虫などを捕食。
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- サクラの花蜜にやってきたメジロ・・・花蜜のほか、小枝から小枝へと活発に移動しながら昆虫やクモを捕食する。
- 野鳥たちの食性を調べると、いかに「昆虫」に依存しているかが分かる。野鳥だけでなく、渓流の王者「イワナ」も同じである。
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- サクラの花蜜にやってきたビロードツリアブ・・・これがアブの仲間とは驚いた。春一番に見かける昆虫の一つで、ホバリングが格好いい。3~6月、平地から亜高山で花の蜜、花粉などに集まる。
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- ドウダンツツジにやってきたクマバチ・・・空中でピタリと止まり、しばらくホバリングする姿が格好いい。
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- ハナアブ・・・菜の花にやってきた昆虫を撮影していると、様々な昆虫がやってくる。昆虫初心者には、ハナアブとミツバチの違いすら分からない。何度も撮影して、その写真を見比べ、やっと見分けがつくようになった。
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- こちらがミツバチ。
- ハナアブとミツバチの見分け方
- ハナアブのハネは2枚、ミツバチは4枚。しかし、ハネは半透明だから、飛んでいる場合は、判別がつかない。
- ミツバチの触覚は、ハナアブに比べて長い。
- ミツバチは、蜜を吸うための舌が長く先が尖っている。ハナアブは、口の先が短く、花粉や蜜をなめる作りになっている。
- ミツバチは、後ろ足に黄色い固まりになった花粉をつけていることがある。この花粉の固まりは、アブの脚には見られない。
- ハナアブの眼は、ハエと似ていて大きい。ミツバチの眼は、アリに似ている。
- 昆虫は、なんとなく分かったようなつもりで見過ごしていたが、いざ狙って撮影してみると、分からないことだらけだ。それだけにオモシロイ!
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