真夏の源流2001-1 真夏の源流2001-2 山釣り紀行TOP
未知の谷のゴルジュと滝、キクラゲ、閉塞性動脈硬化症、渓流流しソウメン、山案内人・嘉門次・・・ |
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真夏の源流・・・想像するだけで、心は踊る 連日「猛暑日」が続き、熱中症で救急搬送された人が2万4千人(7月末)を超えたという これはたまらん・・・8月中旬、情報が全くない未知の岩魚谷に向かった 流木に同化したアズマヒキガエルは、清冽な飛瀑を浴びて、ひたすら虫を待つ |
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未知の岩魚谷は、長年気になっていた沢の一つであった イワナ釣りや沢登りの記録も皆無に等しく、少なからず不安はあった 案の定、思わぬゴルジュの突破に苦労させられた 目的のN沢は、ゴーロの階段が延々と続き、まるでミニ・マンダノ沢のような美渓であった 「釣れない釣り日和」とは言え、魚影の濃さには驚かされた 未知の谷は、不安や苦労も多いが、それだけ感激も大きい |
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谷の両岸は切り立ち、典型的なV字峡谷である 廃林道と杣道を利用するか、それとも谷沿いを歩くか・・・迷った 問題は・・・雨が降っても安全で快適なテン場があるかどうかである ならば、沢通しに歩くしかない 遡行してほどなく、空は俄かに曇り、大粒の雨が降り出した 最近は、信じられないようなゲリラ豪雨が多発している 先を急ぎたいところだが、左足絶不調では亀のように歩くしかない 仲間には悪いが、何度も腰をおろして休む |
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標高360mを越えると、谷は急に狭くなり、険悪なゴルジュとなる 2泊3日の荷を背負って遡行するには難渋する 左右に蛇行したゴルジュ帯は、意外に長い こんな所で大雨・濁流に襲われたら・・・と思うとゾッとする ゴルジュの淵は深く流れも速い 3回ほどザイルを出して難所を突破する |
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長いゴルジュ帯を抜けると、やっと渓は開ける 右岸から一条の滝となって流れる小沢が流入する 標高は約400m地点・・・その対岸に、この谷唯一のテン場があった |
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左岸の高台は、ブナが林立し、これ以上ないテン場であった 河原にブルーシートを張り、いつもの焚き火&源流酒場が完成する 山で3日間過ごすには、水と食料、エネルギーの確保が絶対である 渓流沿いのテン場は、その条件を全て満たしている 流木を切り、3日分の薪を集め昼食とする |
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幸い雨は止んだ・・・いよいよ未知の谷のイワナ釣りへ 巨岩が点在する小滝の壷や深い瀬が連続し、イワナの好ポイントが続いている すぐさま、懐かしいイワナのアタリがあった ツンツンと竿先が震える・・・竿を上下し挑発すると、岩陰に走った 強く合わせると、、何故かハリスが切れ空を切ってしまった |
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巨岩の小滝・・・その右の巻き込みにエサを送り込む 狙い通りに強いアタリが返ってきた 確実に掛ったはずだが、今度は1号のミチイトが切れてしまった おかしい・・・昨晩、仕掛けを作ったばかりなのに・・・ 壷を覗くと、イワナに持って行かれた目印が水面下に見えた 巻き込みに漂う仕掛けをつかめば、イワナを捕まえることができる 近付こうとすると、目印が消えた 恐らく、イワナは右の巻き込みから左の流れのある方向に逃げたようだ 未練がましく、必死で目印を探すも二度と現れることはなかった |
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▲N沢とS沢が合流する二又 | ▲右のS沢に入る | ||||||||
極上のキクラゲ発見! イワナはもちろんのこと、倒木に連なるキノコを見つけると心の底から嬉しくなる 中華料理でお馴染みのゼラチン質のキノコ・・・良い出汁が出る 盆のキノコと言えば、ブナの老木に生えるトンビマイタケ 昨年はマイタケ同様豊作だったが、今年は不作のようだ |
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沢が左にカーブする地点に落差5mほどの滝が現れる 壷は深く大きい・・・釣れてきたのは、真っ黒なイワナであった 恐らく、暗い滝壺に定位しているイワナであろう |
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▲5m滝上、トヨ状の淵 | |||||||||
▲3mほどの直滝 | ▲谷は狭くなりゴルジュ帯出現 | ||||||||
5m滝は、右岸を巻き、滝上に出る すると、トヨ状の流れの向こうに直登不能な直滝が懸かっていた 連続巻きで沢に下りると、今度は深い淵が連なるゴルジュとなる これじゃ釣りどころじゃない 引き返して、明日の本命であるN沢へと向かう |
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N沢は階段状の壷が連続・・・ 雨のち曇天、かつ夕方という好条件であったからであろう 良型イワナが立て続けに釣れた |
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目標は一人3匹、3人で合計9匹であった あっという間に9匹目が釣れ、あっさり竿を畳む N沢は、イワナの魚影が濃い・・・明日の楽しみに胸が膨らむ |
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真夏でも渓流の水は冷たく、涼むには最高の場所である 涼感満点のマイナスイオンを浴びながら、釣りたてのイワナをさばく 4尾を刺身に、5尾を塩焼きにする 心地よい瀬音を聞きながら、乾杯! まるで仙人になったような気分で飲み語らう しかし、現実は仙人にはほど遠い 左足不調の原因は、筋力低下などではなく、閉塞性動脈硬化症だと判明 左足の血圧は、腕の半分ほどしかなかった・・・血液の循環が悪く左足が病むらしい 心臓血管外科の医者には、こう告げられた 「タバコを止めないと、治療も手術もしない」 40年間吸い続けたタバコを止め、只今禁煙中の身である 今回の山釣りは、痛みをこらえて歩くリハビリの一環なのだが・・・ 仙人どころか、何とも情けない病人である やはり病にかかると、当たり前の健康がどれだけ幸せか痛感させられる 山を自在に歩けるようになるのなら、何でも実行するしか選択の余地がなくなった |
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▲清冽な飛瀑 山案内人、伝説の猟師&イワナ職漁師・上條嘉門次 嘉門次は、32歳の時に明神池のほとりに猟師小屋を建てた 夏は梓川でイワナを釣り、冬は山にこもって愛犬とともにカモシカやクマを撃っていた 明治26年、ウェストンは山案内人として嘉門次を紹介された 雨が激しく降り、梓川は水嵩を増していた その時、嘉門次は次のように言ったという 「すぐ出発することはできません」 その理由がおもしろい 川が増水するとイワナがたくさん出るから、案内役をするよりイワナ釣りをする方が金になるからだという 二日目は、30度を超す真夏日 「釣れない釣り日和」となれば、さしずめ嘉門次なら、釣りはやらずに山案内に徹しただろう ・・・つづく・・・ |