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合同釣行のメリット、関節炎、テンカラ、チョウチン毛バリ、スノーブリッジの谷、豪華な山釣り料理・・・
初夏・・・毛バリ釣りのベストシーズンがやってきた
久しぶりに茨城・渓友亭との合同大パーティが実現した
今年の山は異常に残雪が多く、西の沢(仮称)は分厚い雪渓の連続であった

二日目、比較的日当たりの良い北の沢・東の沢(仮称)に入渓すると・・・
イワナの爆釣が続き、まさに、テンカラ&チョウチン毛バリ天国であった
▲竹濱毛バリにヒットした源流イワナ

都会と田舎の山釣り愛好団体が、交流するメリットは・・・

第一に、テンカラやチョウチン毛バリ、ピンソールなど、山釣りの技術向上を図ることができる
第二に、お互いに特異な料理を披露することにより、山釣り料理のバリエーションが広がる
さらに、短時間で倍の山釣り料理ができる・・・故に、最高の贅沢を堪能できる

第三に、山菜&イワナ釣り場の最新情報を現場で体験できる
第四に、宴会中心の源流酒場は大人数ほど楽しい

誰しも都会に住めば、田舎が恋しくなる・・・逆に田舎に住めば、都会が恋しくなる
だから、都市と農山漁村の共生対流こそ人生の理想であろう
それは山釣りの世界も同様である
二日目のイワナは、32cmを筆頭に尺イワナが3本・・・
山釣り定食は、定番の料理に加え、合同パーティならではの逸品も数多く並んだ
まさに山釣り最高の贅沢を味わった

釣行年月日・・・2012年6月8日(金)〜10日(日) 2泊3日、パーティ9名
午前6時前、秋田・源流釣友会6名は、2台の車で予定の集合場所へ
茨城・渓友亭3名とは、実に3年ぶりの再会・・・握手を交わして再会を喜び合う

法面崩落した林道手前の広場に車を止め、荷造り&山釣りスタイルに着替える
竹濱さんはリュウマチも完治し、初のリハビリ釣行に満面の笑顔であった
「やっぱり、山はいいなぁ〜」

それを祝福するかのように、朱色の鮮やかなヤマツツジが出迎えてくれた
▲ウワミズザクラ ▲タニウツギ
渓流足袋にピンソールをつけて、杣道から急斜面の痩せ尾根を下る
重い荷を背負って急斜面を下ると、膝への負担が大きい
翌朝、足を屈伸すると痛みが走る・・・左足の膝は明らかに腫れ上がっていた

後日、整形外科に行くと・・・膝に水がたまる関節炎とのこと
大きな注射針で水を抜く・・・黄色の水だったがその多さに驚く
関節の軟骨が摩耗して、関節に負荷がかかり炎症を起こしたのだという

「これは老化の一種ですか」
「まぁ、そうだ、余り無理をしないように」
つまり、自転車のチェーンに例えれば油切れ・・・明らかに老化の一種

山釣りの大御所・瀬畑翁も、老化による膝痛に悩まされていたのを思い出す
それでも、病院で注射を打ったらすごく良くなったと聞いている
1週間おきに病院に通い、注射を打ち続ければ治るだろうか

 思えば、昨秋、閉塞性動脈硬化症の手術以来、山を歩けるようになった嬉しさに有頂天になってしまった。特に今年の5月から一か月余り、健康管理を兼ねて毎週のごとく山に入ったが、足の老化はそれに耐えられなかったようだ。情けないが、年相応のスローな山釣りを目指さないといけないのだろうか・・・反省、反省・・・
遅い朝食後、テン場をセットし、今晩のイワナ調達へ
ブナ帯の森と花崗岩の谷は、透明度の高い清流がゆったりと流れ下る
竹濱さんは長竿使用によるチョウチン毛バリ、ジンさんはテンカラで釣り上がる

二又から西の沢と本流の二班に別れる
▽ジンさんのテンカラ

テンカラ用の仕掛け全長は、一般に身長+竿=ライン+ハリス
つまり、竿より仕掛けの全長は1.5mほど長くするのが常識とされる
しかし、ジンさんはテンカラ竿3.6mに対して、ライン+ハリスの全長は竿と同じ3.6m

仕掛けの全長が短い分、イワナの食い筋に正確にキャスティングできる利点がある
渓畦林が豊かな秋田のイワナ谷では、ベストに近いテンカラだと思う
その真価は、二日目の北の沢で存分に拝見させていただいた

テンカラのマニュアルにこだわり過ぎると・・・イワナが釣れず、断念する釣り人も多い
基本としてマニュアルは必要だが、現場の条件や経験、力量に応じて変えることこそ大切であろう
二又合流点でエサ釣りの美和ちゃんに8寸弱のイワナがヒット
嬉しさの余り、記念撮影をせがまれてしまった
イワナ釣りの感激・・・釣り上げたイワナを手に満面の笑顔が全てを物語っている

エサ釣りであろうと、毛バリ釣りであろうと、釣れれば何でもオモシロイ!
二日目、美和ちゃんは、竹濱さんからチョウチン毛バリの指導を受けた
▽竹濱さんのチョウチン毛バリ

チョウチン仕掛けは、長竿に対して仕掛けの長さが1ヒロ(両手を広げた幅)程度と極端に短い
まるで「提灯」を下げているような状態に似ていることから名付けられた
この釣法は、もともとブッシュの多い小沢用のエサ釣りとして発達した伝統釣法である

それを毛バリに応用したのが、チョウチン毛バリである
竹濱さんの最大の特徴は、竿の長さが7.1mと長いことである
もう一つの特徴は、浮力と視認性に優れたパラシュートタイプの竹濱毛バリである

竹濱流チョウチン毛バリの真骨頂は、食い気のないイワナを釣り上げる攻めの釣りにある
毛バリを水面で自在に躍らせる、流れに対して直角に引く、斜めに引く、流れに逆らって逆引きするなど、
毛バリを生きている虫のように自在に操り、食い気の全くないイワナをも釣り上げる

これは、テンカラでは絶対不可能な釣法である
秋田のようなイワナ天国にいれば、こうした攻めの釣法は決して生まれないだろう

合同釣行のメリットの第一は、こうしたマニュアルにはない
独特の釣法を現場で学ぶことによって、山釣りの技術向上を図ることができる点にある
▲竹濱毛バリ

▽パラシュートフライ
左右の毛バリがパラシュートタイプで、特に浮力と視認性に優れ、視力の弱い人にオススメのタイプ
流れに浮かぶ毛バリに、水面を割って飛び出すイワナ・・・
そのワクワク感、ドキドキ感は、エサ釣りでは味わえない感激がある

▽伝承毛バリ
真ん中の毛バリは、長いハックルを傘状に巻いた伝承毛バリで、沈めて使う毛バリ
竿先を上下にこずけば、ハックルが開閉し、その動きでイワナを誘うタイプである
この毛バリは、基本的にラインの動きでアタリをとる
西の沢は、典型的なV字谷でマンダノ沢のミニ版のような階段状のゴーロが続く
日当たりの悪いV字谷には、今だ分厚いSB(スノーブリッジ)が連続し、行く手を阻み続けた
上の写真は、SBにトップで上がった仲間が、5mのお助け紐で後続を引き上げているところ

▽雪渓、SB(スノーブリッジ)の注意点
雪渓が流水で解けると、アーチ状のスノーブリッジができる
SBは崩落の危険があり、安易に下を通過してはならない

二日目の夕方から雨が降り、三日目の早朝にはスノーブリッジの崩落で濁流となった
雨が降り続いた後や高い気温が続いた後、気温が上昇する午後に崩壊の危険が高い
初夏から夏にかけて、スノーブリッジの崩落は何度も起きるので注意が必要だ

SBの上を渡る場合、亀裂の入った場所、薄い中間部は避け、両サイドを歩くよう心がける
また、雪渓を滑り落ちないよう、常に足場を固めて上り下りすること
SBを上り切って上流を望み絶句!
SBは連続し、竿が出せるポイントはほとんどなし
おまけに、分厚いSB周辺は震えるほど寒く、羽虫もほとんど皆無であった

イワナ釣りにとって、これ以上の悪条件はない
それにしても、この山系でこれほど連続する雪渓を見るのは初めてのことだった
食い気のないイワナを釣る・・・その真骨頂を発揮したのが竹濱流チョウチン毛バリであった
あの手この手で攻めても、なかなかイワナは出ない
私ならとっくに諦めるような場合でも、執拗に粘って攻め続ける

すると、不思議なことに・・・イワナは我慢できずに竹濱毛バリに食いつく
この釣法は、スレたイワナを相手に百戦錬磨しないとできない技だ
従って、釣り上がるスピードは超スローである

これまで足で釣るスピーディな釣法にこだわってきたが・・・
老化で関節炎を起こす状態になると、もっとスローな釣りに学ぶ必要があると思わざるを得ない
▲食い気のないイワナが竹濱毛バリに食い付く

食い気のないイワナが、何故疑似餌に食らいつくのだろうか
エサ釣りの場合でも、定位しているイワナ周辺で執拗に粘ると釣れることがある
最初、イワナは釣り人を警戒してか・・・毛バリを無視する

しかし、何度も目の前で美味しそうな動きをされると、我慢できずに食らいつくのだろう
思うに、イワナに対して「目の前の獲物を逃せば死ぬ」・・・
という野生の本能を引き出せるかどうかで決まるのではないか

これは頭で考えても、簡単な技ではない
▲キバナイカリソウ
▲ヒラタケ ▲オオバキスミレ

雪解けの斜面には、オオバキスミレやキバナイカリソウ、カタクリ、キクザキイチゲなど、
春を告げる花たちが咲いていた
倒木には春のキノコ・ヒラタケも・・・味噌汁用に採取する

初夏から春に逆戻りしたような光景が続く
イワナはどこへ行ったのか・・・と思うほど魚影は薄かった
その謎は・・・
イワナたちは、産卵後、大場所に集まって越冬する

そうした大場所は、雪崩が集中しやすい場所が多い
故に、イワナの好ポイントは、ことごとく分厚いSBに埋もれていた
▲西の沢のイワナ

初夏とはとても思えないほど、顔が黒くサビついている
側線前後の着色斑点は、朱点に近いほど鮮やかで濃いのが最大の特徴である
SBが連続している光景から、雪代のピークはこれからといった感じである

ちなみに胃袋は、ほとんど空っぽに近い
まるで渓流解禁日のようなイワナ釣りであった
▲SBを釣る ▲ムラサキヤシオツツジ ▲キクザキイチゲ
▲極上のゼンマイ ▲シラネアオイ
▲ゴーロ連瀑帯をゆく ▲ウド ▲オオカメノキの白花
上るに連れて、SBの厚さと長さが増し、谷全体が分厚い雪に覆い尽くされていた
さらに、春の爆弾低気圧で倒れた倒木がSBの上に散乱し無残な光景が広がっていた
これじゃ釣りも山菜も×・・・午後1時過ぎに竿を畳む

本日の西の沢釣行は、巨大連続SBに阻まれ敗退するに等しい結果に終わった
それにしても今年の山の雪は、想定外に多い
明日は、日当たりの良い北の沢、東の沢に期待する外ない
連続するSBを足早に下る
とはいえ、雪渓の上り下りは細心の注意が必要だ
上の写真のように、雪渓の傾斜がきつく、沢までの落差が大きい場合を想定願いたい

もし足を滑らせると、谷まで一直線に滑り落ちてしまう
山菜採りの遭難事故は、崖だけでなく雪渓の滑落事故で骨折し動けなくなるケースも少なくない
▲清流の傍らで男の料理

渓流は最高の調理場である
飲める水が無尽蔵に流れ、瀬音のBGMと大量のマイナスイオンを浴びながら調理できる
ただし、早春や晩秋の頃は、手がかじかむほど冷たい

逆に初夏から盛夏は涼むには良いが、ブヨやアブが大量発生すれば防虫対策は必須だ
今回は、テン場周辺に雪渓が残っていたので殊の外涼しく、虫もほとんどいなかった
故に、山の幸を調理するには実に快適であった
▲ウド、ウルイ、バッケ ▲ウルイのおひたし
▲タケノコ(ネマガリダケ) ▲皮をむいたミズ
▲渓友亭定番のイワナ寿司

9人分のイワナ寿司を手で握るのは大変だ
そんな時便利なのが、一度に寿司が10貫できる寿司シャリ容器「パコっとにぎり寿司10貫」だ
10貫のシャリにワサビを乗せ、イワナのネタを乗せる

ご飯3合で、34貫のイワナ寿司・・・
ベテラン二人の手にかかると、あっと言う間に完成した
▲初日の山釣り料理

下左からウドのきんぴら、シドケのおひたし、ワラビ
中左からウルイ、アザミのおひたし
皿には、イワナの刺身、イワナのタタキ、バッケ味噌、ミズの塩昆布漬け

他にイワナ寿司、唐揚げ、タケノコとヒラタケの味噌汁・・・全12品
これだけの料理を短時間で作るとなれば・・・大人数の合同パーティでないと無理である
まさに宴会中心の山釣りには、大人数の合同釣行に勝るものはない
渓流のBGMを聞きながら、焚き火を囲むように車座に座る
まずは渓流で冷やしたビールで、高らかに乾杯!
何を食べても絶品!・・・飲んで、食って、しゃべり、笑う

ビール、熱燗、焼酎・・・酔うほどに源流酒場は盛り上がる・・・
何を語り、何時に寝たかも全く記憶にないほど酩酊・・・
お蔭で翌朝は完全なる二日酔いであった

合同釣行は、飲み過ぎに注意!・・・メリットだけでなく欠点もあった!
(毛バリ釣りのクライマックスPart2へ・・・つづく)

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