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マイタケ総重量13kg、自力でマイタケを採るには、専用冷凍庫、マイタケMEMO、マイタケの大きな薬効・・・ |
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今年のマイタケ採りは、1週間前がピークで、そろそろ終盤にさしかかっている 1本目の当たりでカメラを構えると「カードが入っていません」とのメッセージが・・・ 何とSDメモリーカードが入っていなかった 今回は、誠に残念だが、天然マイタケが自生している写真はなし カメラは、ザックの底にしまい込んで、ひたすら急斜面を徘徊すると、 またまた当たり連発・・・気がつけば、ズシリと重く、マイタケの総重量は13kgもあった 第1回約10kg、第2回12.5kg、第3回16kg、第4回13kg・・・合計51.5kg コンスタントに10kg以上採れれば、マイタケ採りのセミプロ級と言えるだろう マイタケ採りは、親兄弟にも教えない秘密の世界・・・ だから、自己流でマイタケの生える場所やコツをつかむしかない やはり、マイタケ採りには、独特の歩き方、見つけ方のコツがあった その丸秘のコツを、やっとつかめたように思う |
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2010年10月2日(土)晴れ・・・朝5時前家を出発 林道に入ると、4台の車が数珠繋ぎとなった 目的の車止めには、既に4台の車があった・・・6時15分、山に入る 今回は、10日ほど前に入った脇尾根を上り、歩いたことのない中下流域を探ることに 急斜面、危険区域を問わず、ミズナラの大木周辺は、採られた痕跡がかなりあった それでも、遅れて生えてきたマメやサワリ・・・小株ではあるがサカリの株もあった |
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しかし、マイタケ道ができているような尾根では勝負にならない 下流に向かって巻きながら、空白地帯を探す 山に入って3時間ほど経過した時、対岸の脇尾根に大株が見えた 崖地を這い上がると、大株が3株あったが、残念ながらキノコバエが大量に飛び交い ナガレ初期の段階であった 大木の根の上にザックを置き、「もったいない」と呟きながら丁寧に剥ぎ落とした こんな大株のナガレがあると言うことは、この周辺にマイタケがあるはずだ 振り返ると、斜め下にミズナラの木が数本連なっているのが見えた 空身で下ると・・・あった、あった、黒マイタケが4株ほどあった 株の下から上下左右に揺するように起こして採る とりあえず25リットルのビニール袋に入れて戻る 綿の風呂敷に移し変え、株が壊れないようにキッチリ結んでザックに入れる 上を見上げれば、見渡す限り崖が連なっていた 危険地帯なだけに、この周辺だけはマイタケ採りの痕跡がなかった |
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崖の隙間を縫うように這い上がり、崖の上に出る ほどなく、2本目の当たり・・・ 根の上部に4株、下に巨大な株2株あった 残念ながら、根の下側の2株はナガレ状態で腐りかけていた こうもナガレの大株があるということは、終盤期にさしかかっていることを意味しているのだろう 茶マイタケ4株を大事に採取し、綿の風呂敷に包んで背負う さらに尾根を上ると、左手の細い木に買物袋を巻き付けた目印のようなものがあった 巻き付けた買物袋は、黒く変色しかなり古い 恐らく、この周辺にマイタケが生える目印だろう ザックを下ろし、空身で周囲を探す やはりあった・・・3本目の木で、黒マイタケのサカリ数株を採る さらに上り続けると、マイタケ採りの痕跡が見え始め、大きな木は全て採られた跡だった |
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下流に下りながら巻き続けると、大きな枝沢の尾根に辿り着いた さすがに、ここまで下がると、大きなミズナラには全てマイタケ道ができていた 荷も重くなったことだし、諦めて沢に向かって下る 右手にミズナラの巨木が目に止まった・・・これまで見たこともないほど巨大な古木である 根の下側に回ると、根の中心部に向かって巨大な空洞になっていた その空洞の周辺にマイタケを採取した残骸が無数に散乱していた 中を覗くと、手の届かない奥に取り残したマイタケが見えた 巨大な空洞を埋め尽くすほどのマイタケ・・・恐らくこの木一本で10kg以上採ったのではないか 巨大な根元の巨大な空洞・・・こんな巨木の中心を蝕むマイタケの力には驚かされる だから、取り残したマイタケも半端ではなかった 低木の枝を三尺ほどに切り、奥のマイタケを切り落として手前に引っ張り出して採る それでも木の枝が奥まで届かず、全て採ることはできなかった 左手の空洞の奥を見ると、手が届く範囲にまだ取り残しがあった 暗い空洞の中には光が届かない だから、マイタケの色は白っぽく、茎はいずれも長く太い 成長が遅いのか、意外にも身は締まり、容積の割には重い 形は悪いが、香り、歯切れともに優れたマイタケであった |
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沢が眼前に見える頃、4本目の当たり・・・黒マイタケ3株 1株はサワリからサカリの中間的な株だが、容積の割りにズシリと重い 身は締まり、茎も充実している もう3、4日ほどおけば、素晴らしい株に成長するだろう 大事に株を起こし、石突と泥をナイフで切り落としてから風呂敷に包む ザックに背負うと、さすがに重くなった ザック全体の重量は18kg・・・20kg近くになると、歩くのもつらい 疲労はピークに達し、体力もガス欠寸前の状態だった 山道に達した所で、パンとチョコでエネルギーを充填する 山を歩くこと9時間・・・午後3時、ヨレヨレになりながら車止めに辿り着く |
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▽自力でマイタケが採れるようになるには・・・ 今年のマイタケ採りは、地図を徹底的に読み、あらかじめ歩くルートを決めて山に入った 山に入ったら、地形と林相を読み、常に標高を確認しながら歩いた この時、山釣りで培った山の勘と危険地帯を歩く技術、体力が役に立った まず、この沢は、私のイワナ釣り場の一つで、ほぼ源流部まで歩き知り尽くしている つまり、沢筋ならば私の庭のようなホームグランドである だから、例え未知の脇尾根、急斜面、崖地を歩いていたとしても、位置が手にとるように分かる また、地図を読む、地形と林相を読む、岩場のわずかな柴をつかみながら上り下り、トラバース・・・ これらの技術を習得するには、長年の積み重ねが必要だ マイタケ採りは、まさに山と渓谷の総合的な経験と技術を要する世界だとつくづく思う その経験知と技術知は、言葉で表現することは不可能である 秘密のベールに包まれたマイタケ採りの世界・・・そのコツをやっと自分のものにできたように思う 山に学ぶ、ミズナラに学ぶ、マイタケに学ぶ・・・マイタケに当たるには、やはり近道はない |
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▲裂いたマイタケを焼く | ▲熱燗に入れたマイタケ酒はすこぶる美味い | |||
▲マイタケを贅沢に使ったマイタケ鍋 翌日、余ったマイタケ鍋でうどんを煮込むと、これまた絶品 |
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調理用に縦に裂き、二度水洗いし、水気を切る ザルに山盛り状態にしたままでは、簡単に水切れしない ブルーシートを敷いた上にあけ、扇風機で乾かしてから、フリーザーバッグに入れ冷凍庫で保存する 今年は、マイタケに狂わされ、処理しきれないほど採ってしまった あちこち配ったが、それでも家庭用の冷凍庫は満杯 やむなく、95リットルの縦型冷凍庫を購入し、マイタケ専用冷凍庫として保存している マイタケの当たりが連続すると、イワナ釣りを遥かに凌ぐ感動がある 後処理のことなど一切考えず、ただただ夢中で撮る、採る・・・完全に狂わされてしまう きのこの王者・マイタケの魔力は凄いというほかない |
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マイタケMEMO | ||||
9月上旬〜10月中旬頃、ミズナラの根際に発生し、材の白腐れを起こす 無数に枝分かれした先端に傘がつき、多数重なり合い、径30cm以上の大株になる 里山にも生えると言うが、天然マイタケ採りの醍醐味は、イワナが遊ぶブナ帯の森がターゲット 天然マイタケは、栽培物と比較にならないほどデカク、極めて香りが良く、味も歯切れも素晴らしい。これは、千年以上も生きるミズナラのパワーにほかならない ミズナラは標高が余り高くなく、日当たりの良い脇尾根筋〜急斜面に生えることが多い。私のマイタケ山のデータによれば、標高400m〜800mの範囲内に生える場合が多い。 |
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▽マイタケの薬効 マイタケはサルノコシカケ科のキノコで、多くの薬効成分を持っている その薬効のパワーは、さすが「キノコの王者」と、思わず合点するほど高い 薬学的に証明されている薬効は・・・ 抗がん作用・・・ガン細胞の増殖を防ぐ作用がある。マイタケに含まれるグルガンは、腸を刺激し老廃物の排出を促すため、大腸ガンの予防になる。 抗エイズ作用・・・グルガンという多糖類は、エイズウィルスの働きを抑制する 成人病予防・・・ビタミンD2を豊富に含み、血中のコレステロールを除去して血行を良くし、動脈硬化などを予防する 老化防止、気力充実・・・ビタミンB2が豊富で、皮膚や爪、髪などの老化を防ぐ。また、イライラの原因はビタミンB2不足からくると言われているが、そのビタミンB2は野菜類の約2倍も豊富。 骨を丈夫に、貧血予防に・・・ビタミンD2は、カルシウムやリンの吸収を促進。鉄分も豊富で貧血を防ぐ。 血圧安定・・・ナイアシンは野菜類の約9倍も含み、血圧を安定させ、胃腸障害を解消する働きがある ダイエット効果大・・・マイタケに含まれる多糖類をMD-フラクションと呼ぶ。この成分は、動物実験で食べ物の脂肪吸収を抑える効果があることが判明・・・つまり、体重と血液中の脂肪分を大幅に減らす効果がある。 これらの薬効は、スーパーで一般に販売されている栽培物でも同様の効果があると言われている もちろん、天然マイタケなら、安全性、薬効成分ともに数段上だと思う 体に良い薬は、天然物から摂取するほど理にかなったものはない マイタケを食べて健康に・・・ マイタケに狂わされるのは、この薬効の高さも一因かも知れません 千年以上も生きるミズナラのパワーをもらって育つ巨大マイタケは、やっぱ凄いの一言である |