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マイタケ大株サカリ、当たり連発、「キノコ木」データ蓄積と分析、足で採るプロの世界・・・
2010年9月20日(日)、久しぶりにマイタケの大株に当たった
今年初のマイタケ採りは、3連休の最終日だけに、期待は薄かった
それでも9月18日の情報によると、1本の木から12kg余りの大当たりがあったという

私は、万が一を想定し、65リットルのアタックザックと風呂敷2枚を準備した
一方、相棒は、30リットル程度の小さなサブザックだった
聞けば、全く期待していなかったという
プロは、数十年のデータの積み重ねと、そのデータを分析してから特定のミズナラを巡回する
だから当たる確率は極めて高い
まして、マイタケが豊作の年は大当たりを連発する

私がマイタケを始めたのは、2007年・・・わずか3年程度に過ぎない
そんなデータをもたないマイタケ初心者が、やみくもに山を歩いても当たる確率は極めて低い
しかし、山を数多く歩けば、当たることもある

2008年、1本のミズナラからマイタケ約20kgの大当たりをしたことがあった
しかし、当然のことながら、その後苦戦が続いていた
今、冷静に振り返ると、夢の大当たりは、単なる偶然の産物に過ぎなかったように思う

マイタケが生える場所は、とにかく険しいの一語に尽きる・・・まさにプロの世界だと思う
今年は、戦術を変えた・・・地図と地形を徹底的に読み、場所を特定して歩いてみた
その結果、大当たりとはいかないまでも、当たりを連発することができた
▲やっと咲き始めたダイモンジソウ

山の気温が15〜18度以下にならないとマイタケは生えないと言われる
また、一般的に猛暑の夏と適度な雨が降れば、豊作とも言われる
今年は、何となく豊作の予感がしていた

朝4時半、家を出発・・・目的の車止めに着くと、意外にも1台しかいない
「9月18日だば、車が7〜8台もあったどぉ、ここだば、人が多ぐでぇ、プロははいらねぇ」
マイタケ採りの人たちが相当入ったらしい

この沢は、私のイワナ釣り場の一つである
とりあえず一番奥地まで歩き、険しい崖が連なる急斜面をトラバースしてみることに
車止めを6時出発・・・目的の斜面に辿り着いくには2時間ほどを要した

当たり1本目
この沢は、標高800m以上になると、ミズナラが消えブナが突出して多くなる
従って、その境界線より下を目安に山を巻くように下流方向に下った
山に入って4時間、疲労がピークに達する頃・・・やっと、やっと今年初のマイタケに当たった
▲サワリ(若いマイタケ) ▲サカリが2株・・・やはり花崗岩を抱く根元に生えていた

険しい崖が連なる急斜面・・・ミズナラの大木の根元左下に若いマイタケを見つける
ふと見上げると、サカリ2株が石の上に座っているように生えていた
二人とも、「やったぁ〜、当たったぁ〜」と叫ぶ

疲れが吹き飛ぶ瞬間である
この感激は、険しい斜面を歩き続けた者でなければ決して味わうことができない
相棒が言った・・・「これで、やっと元気が出てきたよ」
感激を噛み締めるようにマイタケを採る
当たり2本目・・・大株サカリ
▲スワリの大株
1本目の斜め下にミズナラの巨木が見えた
斜面を下って根元を見ると、つい先日採られたばかりの痕跡が残っていた
それもかなりの数である・・・恐らく10kg以上は採ったことだろう

「やられたねぇ」と言いながら、記録として全景を撮っていた・・・その時・・・
「おい、上にでっけぇ株があるぞぉ〜」と、相棒が叫んだ
カメラを肩にかけ、根元の右に回って見上げると、確かにデカイ!

花崗岩を抱くようにグルグル巻きの根元に、まるで座っているような状態で生えていた
この大株を見逃すとは・・・にわかには信じ難い光景だった
こんなラッキーなこともあるのか・・・残り物に福があるとはこのことか
相棒がスワリの大株を採る感激を撮る
一人では、こんな瞬間を撮ることができない・・・それだけに念願の夢が叶った瞬間であった
風呂敷に包み、大株を壊さないように65リットルのザックに入れて背負う
こうなれば、何時間歩こうとエンジン全開となる
▲マイタケの小株 ▲サワリ2株

当たり3本目・・・朽ちた倒木
▲朽ち果てたような倒木に生えていたマイタケ
滑ると真っ逆さまに谷底まで落ちるような険しい斜面を巻く
小沢を渡り、次の斜面にとりつく

まさか朽ち果てた倒木に生えているとは思わってもいなかった
この黒い倒木の真下を通ろうとしたら、崖で通れそうにもない
この倒木の上を巻こうとして見上げると・・・マイタケらしき塊が見えた

急いで這い上がり、根元を覗くと紛れもなくマイタケだった
下にいた相棒に向かって叫ぶ・・・「あったぞぉ〜、マイタケ、あったぞぉ〜」
ミズナラの倒木は、かなり古く皮はすっかり剥げ落ち黒ずんでいた
そんな朽ち果てた倒木でも、6株ほどが重なり合うように生えていた
そんな養分がどこにあるのだろうか・・・まことに不思議な光景であった

これまで半枯れの生の巨木ばかり探していたが、倒木もあなどってはいけないと思う
それもナメコやムキタケと違って、幹ではなく、決まって根元に生える
当たり4本目・・・3株
▲サカリ〜スワリ3株全景
この木の右上方向から下ってきた時である
まず右上の大株を見つけ、斜面下の根元を覗くと・・・あった、あった
慌てて枯れ木をつかんでしまい、数メートル滑り落ちてしまった

危ない、危ない・・・
山の素人にどんなに頼まれようと、マイタケ採りだけは無理だと痛感する瞬間だった
プロのマイタケ採りは、親兄弟にも教えないと言う
秘密の場所というより、険しい斜面を歩くこと自体、危険極まりないからに違いない
▲右上の大株アップ ▲根元下の2株、右上にも小さな株が見える
右上の株は、大株とは言えないまでも、まずまずのサイズ
二つ目の風呂敷を取り出し、大事に包む
この時、既に12時を過ぎていたが、水がないので食事もとれない
しかし、もはや昼食どころではなかった
当たり5本目・・・ナガレ3株
崖のような急斜面を巻き続けた
すると、またしてもマイタケ発見・・・
近付くと、残念ながらキノコバエが飛んでいた・・・ナガレ初期の段階であった

半分ほどは食べられそうだったが、こんなものに手を出す必要はなかった
この時、目屋マタギの言葉を思い出す
「運悪く育ちすぎて腐ったマイタケを見つけたら、すっかり取り去る」

「もったいない」と言いながら、栄養分をとられないよう綺麗に取り去った
この後まもなく、雨が降り出してきた・・・雨のお陰で我にかえり、ハードなマイタケ採りに終止符を打つ
転がり落ちるような尾根筋を下り、沢に降りる

大粒の雨の中、貪るように昼食をとる・・・天気は最悪だが、心は快晴だった
今回は、マイタケ初心者がバージョンアップする貴重な転機となった・・・例えば、

採られた跡やナガレであっても、マイタケが生える「キノコ木」として記憶、記録しておくこと
マイタケ採りは、数多く同じ山を歩くこと・・・そしてデータの蓄積と分析、経験知が最も大切なこと
宝くじのように、ただやみくもに山を歩く馬鹿なことは、そろそろ卒業にしたい
マイタケ採りもイワナ釣りと同じく、摩訶不思議な感激をもたらしてくれる
イワナの入れ食い・・・マイタケの当たり連発
そして「足で釣る」・・・「足で採る」・・・共に良く似ていることに気付く

しかし、ただ一点だけ違うことがある
イワナは、谷を歩くが、マイタケは獣も嫌うような険しい急斜面を歩く
素人が歩くような世界ではない・・・まさにプロの世界だとつくづく思った

だからこそ「キノコの王様」と言われる所以であろう
それにしても、マイタケ採りは、数ある山遊びの中でも、ハードさにおいて群を抜いている
水陸両用のピンソールでは歯が立たない

足ごしらえは、スパイク付地下足袋でないともたない
さらに、万が一を想定し、ザイルも背中に背負う必要がある
当初、マイタケの写真だけでも撮りたいとの浅はかな考えは、微塵もなく吹き飛んでしまった
それだけに、マイタケの魔力は凄いと言わざるを得ない

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