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ナメコ豊作、黄葉とナラタケ、採集用ザル、数百年ブナとキノコ、鍋焼きうどん、缶詰加工保存、命の循環「キノコ」・・・
10月下旬、ブナ林の黄葉は、山頂から駆け下り、谷底まで達した
谷に風が吹き抜けると、カサカサと音を奏でながら枯葉が舞い散り始めた
我々にとって「黄葉とナメコ採り」は、ブナ帯の一年を締めくくる最大の行事である

しかし、今年は、マイタケとナラタケがともに不作・・・故にナメコも不作が懸念されていた
黄葉の季節に、ナラタケが群れをなして発生する光景は、これまで見たことがない
一方、ナメコは発生すべき倒木全てに発生している
ブナ林のナメコだけは、一人勝ちしたように「豊作」であった
2011年10月22日(土)、キノコ採りキチ3名は、黄葉のブナ林に向かった
早朝は満天の星であったが、車止めに着く頃には曇天に急変した
雨が降れば一眼レフは×、ニコンのコンパクトデジカメを予備に背負う

黄葉に染まった谷は美しいが、太陽の光を浴びないと輝かないのが残念だ
沢筋を歩いていると、いきなり不思議な光景に出くわす
既に終わったと思っていたナラタケが、新たに生えているではないか

大爆発にはほど遠いが、これまた嬉しい誤算であった
ナメコは、これまで実績のある倒木の全てに生えている
さらに、豆粒幼菌も至る所に発生していた
これは、「ナメコは豊作」のシグナルであろう
▲前回残した豆粒幼菌その1は、傘が開き始めの旬に成長していた

苔生すブナの倒木は適度な湿気に恵まれ、極上のナメコを育む
上の写真の右端に豆粒幼菌が見える
ナメコは、同じ木あるいは周辺の倒木に約一ヶ月にわたって生え続ける

雪が降っても、根雪になるまで生長を続ける
まさに雪国のブナ帯を代表するキノコの筆頭である
▲楽しい、楽しいナメコ採り ▲やっと出てきたムキタケ

黄葉の季節になってもナラタケが生え、ムキタケと似ている毒キノコの筆頭・ツキヨタケも健在である
その珍現象を反映しているのか・・・ムキタケの出が極端に遅い
今年のブナの森は、ナメコの一人勝ちのようである
前回、倒木の根元に群生していたナラタケが、再び下部に生えていた
壊れやすいキノコだけに、ゴミや泥をつけないように丁寧に採取する 
▲前回残した豆粒幼菌その2を採る

この数百年ブナの倒木は、巨木かつ皮がしっかりしていて表面の苔も美しい
ナメコの発生をやっと確認したのは、今年が初めて
食用キノコとしては、ブナハリタケ、ナラタケ、ナメコ、ブナシメジの4種類を確認した

それだけに、今後が楽しみな倒木である
大切なキノコ木データとして新たに追加する
▲前回残した豆粒幼菌その3〜4を採る

前回、豆粒幼菌を確認した倒木を最短ルートで辿る
まるで天然ホダ木栽培を収穫するように・・・どれもが旬のナメコに成長していた
撮影&採取に手間取り、巡回スピードがかなり遅くなる
上のブナの倒木は、これまで最もお世話になったナラタケ木である
今年は何故かほとんど生える気配がなかっただけに諦めていた
ところが、黄葉の季節に生えてくるとは・・・心底驚かされた
この倒木は、谷に向かって頭から突き刺さるように倒れている
キノコが生える倒木の中でも、数百年ブナともなれば、生えるキノコは全て一級品である
極上のキノコを採りたければ、こうした巨樹の倒木を見つけることに尽きる

勇んで撮影しようとしたら、雨が邪魔をし始めた
急いで一眼レフをザックにしまい、コンパクトデジカメで撮影開始
巨樹の倒木と極上のナラタケ・・・コンパクトデジカメで撮影しても美しいものは美しい

ブナの森の恵みを撮るには、カメラではなく、「足で撮る」ことに尽きるように思う
黄色から赤褐色のグランデーションに彩られたブナの森
その艶やかな森を愛でながら歩けば、忙しいほどキノコの群落に出会う
しかも天然キノコの群落は一つとして同じものがなく、個性的で美しい

下界では決して味わえない至福の時間が延々と続く 
▲ナメコの成菌と落葉・・・落葉舞い散る季節がナメコ採りの季節

ナメコの発生ピークに当たると、出会うナメコ全てが旬で美しい
幼菌、傘の開きはじめ、傘が開いた成菌・・・
いずれも美しく、撮る、採るたびに楽しさは百倍となる
▲前回残した豆粒幼菌その5は、予想通り見事なナメコ群落を形成していた

前回、最も大きな群落を形成していた豆粒幼菌は、見事なナメコの群落に成長していた
やはり、豆粒幼菌は採らずに残し、旬を狙って採るのがベストの戦略である
足場が悪い急斜面だが、壮観な眺めに感動!・・・仲間に大声で知らせる
地面スレスレにビッシリ生えたナメコたち
下面のナメコをナイフで切り取ると、地面に落ちてしまう
その際、ヌメリの強いナメコに泥が付着する・・・ナメコに泥が付着すると洗うのが大変だ

こういう場合は、小さなザルが大活躍する
切り取ったナメコを小さなザルで受ければ、綺麗かつスピーディに採ることができる
雑キノコ採りには、小さなザルが必須アイテムである
▲前回残した豆粒幼菌その6・・・数百年ブナとナメコ

急斜面を上り、やっと目的のナメコ木に辿り着く
この巨樹の倒木は、年々ナメコが生える範囲が拡がり見事である
しかも茎は太く、肉厚な一級品のナメコが生える

もう1〜2年で、ナメコの群生規模はピークに達するであろう
その瞬間をぜひ撮影してみたいと思う
豆粒発生から4日間経過したが、いまだ傘が開くほど生長していない
この倒木は、沢筋から離れた森のど真ん中に位置している
沢筋に比べて湿気が少なく、それだけ生長が遅いのではないか

次回の楽しみに、幼菌サイズの大半を残すことにした
また、よく見れば、倒木の皮の内側から無数の豆粒が新たに発生していた
このナメコの群落は、晩秋にピークを迎えるのであろう
成菌、幼菌、豆粒と三段階のナメコが発生している
同じ倒木に、早生〜晩生種のナメコが次々と発生してくるのが分かる
だから、ナメコ採りは、時期をずらして、採取した同じ倒木を巡回すれば効率よく採取できる
この巨大ブナの倒木は、ナメコ発生の初期段階に過ぎない
だから傘の開いた成菌、やや大きめの幼菌を採取するにとどめた
次回のナメコ群生美に期待したい
比較的平坦な巨樹の森とナメコ 
10月15日に採取したナメコ木を回ると、再びナメコが発生していた
また、これまで全く発生していなかったブナの倒木にも、ナメコが発生し始めた
周囲の埋もれ木を見ると、豆粒ナメコの発生も確認・・・

これらを総合的に判断すれば・・・今年のナメコは間違いなく豊作だ!
小沢で昼食後、標高600〜700m付近を帰りの方向にトラバースしながら進む
錦繍に染まるブナ帯の森林美を遠望しながら進むと、マイタケ道に出る
この山はブナが突出しているが、急峻な崖地になると、ミズナラの巨木が連なっている

私の行くマイタケ銀座の山と違って、この山は、少数のマイタケプロの世界
奥が深く、健脚でないと勝負にならない奥山のマイタケ・・・いつか歩いてみたいと思う
10月15日に採取したナメコの倒木に、再度発生したナメコ発見・・・
他は深い草に覆われ、上から眺めただけではナメコは見えない
草を払うと、次から次へとナメコが姿を現した・・・しかも極上品ばかり

まさに「ブナ林の宝石」を発見したような喜びに浸る
覆い被さった草を綺麗にとり払い、ナメコの群落を撮る
倒木を覆い尽くす草は、湿気を保持する効果があるのだろう
それが見事なナメコの群落を形成する理由であろう

故に、草木に隠れた倒木も見逃してはならない
ナメコ大豊作の決定打に、喜びを噛みしめながら撮る、採る
小さなザルはあっと言う間に一杯となり、その度にビニール袋に移し替える
二袋満杯に採り、背中に背負うとズシリと重い
ナメコが生える一帯は、数百年ブナが林立している
倒木も半端じゃなく、森にポッカリ穴が空くほど大きい
その一例が右上の写真、右下はその倒木の下に生えていたナラタケ 
標高約650mの巨樹の森から、最後のナメコ木めざして急斜面を下る
ブナの巨樹越しに対岸を望むと、艶やかな黄葉が眼前に迫る
キノコ豊作につき、荷は重いが、足取りは軽い
急斜面の途中に横たわる最後のナメコ木は、旬にはまだ早かった
最近発生したばかりの豆粒幼菌がやたら目立つ
最後のナメコ木は、大きめのナメコを少々採取しただけ
次回の楽しみに大半を残した
もう一週間もすれば、見事なナメコ群落に生長することだろう
▲ナラタケは鍋で湯がいてから水洗いし、缶詰加工へ  ▲大ザル山盛りのナメコ 
▲ナメコは二度水洗いし、缶詰加工へ  ▲定番「ナメコの味噌汁」
▲冷凍キノコを使った鍋焼きうどん

今年採取した冷凍ナラタケ、ナメコ、ムキタケを冷凍したまま水から煮込む
豚バラを入れ、アクをとってから油揚げ、糸コン、白菜を入れる
再度沸騰したら、万能つゆで味を調え、生うどんと生卵を入れる

昼は、ネギを入れ鍋焼きうどんとして食べる
残りは、夜、キノコ鍋として酒の肴として食べる・・・いずれも天然キノコの旨みが沁み込み絶品!
究極の保存法、ナラタケとナメコの缶詰加工

秋田では、ブナ帯の恵みであるタケノコやキノコなどを缶詰にして保存する習慣がある
ビッシリ詰め込んだ一缶当たりの経費は、缶80円+加工80円=160円
極上の天然キノコをギューギュー詰めにした自家製缶詰・・・

天然キノコの缶詰は、究極の保存法で、決してお金で買えない希少価値がある
だから、手造りの贈答品としてこれに勝るものはない

天然キノコを撮る、採る喜び、自分で採ったキノコを料理し、食べる喜び
保存加工して、お客さんが来る度に天然キノコ料理をふるまえば、誰もが絶品と褒め称える
例え誰であろうと、喜ぶ顔を見るのは、一番幸せなことである

命の循環「キノコ」

ブナ帯の山の神様の贈り物・・・イワナ、山菜、キノコ・・・
その中でも、最も大きな感激をもたらすものは、「キ・ノ・コ」である
それは、母なる木の「死」から「生」を生む「命の循環」を強く感じるからに違いない

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