雑きのこ1 雑きのこ2 ナラタケ3 ナメコ4-1 ナメコ4-2 ナメコ5-1 ナメコ5-2 ナメコ6 山釣り紀行TOP


ナメコの群生その1〜その4、サワモダシ、ブナハリ、ヌケオチ、ムキタケ、マスタケ、キノコ料理、野生の生き物に学ぶ・・・
2010年10月22日〜24日、久しぶりに3日間・山泊まりのナメコ採りへ
例年ならナメコは、黄葉の季節と落葉した晩秋の季節の二回発生する
しかし、今年の雑キノコは、いずれも例年より2週間前後も遅れていた

私の予想は、直感的にナメコならば、黄葉シーズンに合わせて発生するに違いないと思っていた
予想は的中・・・ナメコ初期の旬はピタリと当たった
竿を捨て、本格的にキノコ採りを始めて10年・・・やっとキノコの生態が分かってきたように思う

2001年、白神のブナ林で始めたキノコ狩りから10年を振り返って思う
イワナと同様、キノコの世界も、苦労をいとわず、山を立体的に歩き、その生態を知れば知るほど、
三次元の世界から、ある日を境に、突然、四次元の世界に突入したように

果てしなく広く、底なし沼のように深い世界だと思う
それは、人間の目には見えない所で密かに増殖する「菌類の世界」だから当然のこと
そんな多様なキノコの旬を、あらかじめ予想することほど、研ぎ澄まされた勘を要求されるものはない

人智を超えた豊凶をランダムに繰り返す天然キノコの世界・・・
だからこそ、残り少なくなった「第二の人生」を賭けるだけの価値はあるように思う
▲黄葉し始めたブナ林 ▲ブナの巨樹
初日は4名、二日目以降は3名のパーティを組み、ブナ林の中を彷徨う
昨年は黄葉真っ盛りだったが、今年はまだ初期段階で山の冷え込みが足りないようだ
だからナメコのピークには、若干早い感じだった

ナメコを探すポイントは、ブナの風倒木を探すことに尽きる
しかし、やみくもに歩いても簡単には当たらない

マイタケが生えるミズナラを「キノコ木」と呼ぶがごとく、
サワモダシやナメコの生える風倒木も、毎年決まっている
つまり、旬の収穫量は、ナメコが生える「ナメコ木」のデータをどれだけ持っているかで決まる
▲腐っていたサワモダシの群生・・・そろそろナメコが生えるシグナルだ

これまでのデータを分析し、最適のコースを忠実にトレースしてみた
狙ったとおり、過去に採取した風倒木には、いずれもナメコが群生していた
ナメコの群生その1
スタート地点は、小沢の右手の尾根筋・・・いつもナメコが生えるポイントである
すぐにナメコの群生その1に当たる・・・全員が苦渋の顔から満面の笑みへと変わる
いずれも旬の幼菌の群れ・・・袋を取り出し、笑いをこらえて丁寧に切り取りながら採取する
楽しいナメコ狩りのドラマがスタート!
▲ナメコの成菌 ▲左と同じ倒木に生えたブナハリタケの群生
ナメコの上に落ち葉が彩を添える
その天然の生態写真から、ナメコ狩りのベストシーズンは・・・
黄葉と落葉の季節であることが読み取れる
▲日当たりの良い斜面のナメコは、発生時期、成長ともに早い
木漏れ日を浴びて、ナメコが美しい輝きを放つ
▲数百年ブナの大木は、大発生する時期が遅い
左の写真は、大木の横から芽を出したマメのナメコ(晩秋は大発生の予兆か)
右の写真は、同じ大木の下に生えたナメコ
初期のナメコは、水分の多い下側〜横に発生することが分かる

森が丸裸になる晩秋になれば、大木の上側に大発生する
つまり、数百年ブナの風倒木は、同じ木で年二回、ナメコ狩りを楽しむことができる
だから、ナメコ木は、大切なデータとして記録、記憶しておくことが最大のポイントである
▲同じくブナの大木に生えたナメコ
こうした数百年ブナの倒木は、ほとんどマメの段階で、しかもまばらにしか生えていない
これは、晩秋ナメコの大豊作を予兆している現象だと思う
何といっても、こんな大木一面に群生すれば、誰しも声を失うだろう
▲半枯れのブナの根元に生えたサワモダシ(ナラタケ)
尾根筋の斜面は風通し、排水性も良く、林床は乾燥している
そうした場所に生えるサワモダシは、湿地を好む沢沿いのサワモダシとは色合いが異なる

色は傘の表・裏ともに黄色っぽく、乾燥しているのが特徴
手で折ると「ポキッ」と音がでるほど、心地よく折り採ることができる
残念ながら半分以上は腐っていた
▲ 細い枝木に生えたナメコ
黄葉の季節は、ブナの大木より、こうした細い埋もれ木などに生えるのが特徴
ナメコの群生その2
▲ ブナの大木に折り重なるように生えるナメコ
ナメコの成菌は、傘裏が白からクリーム色のものが旬
この一帯で、旬の幼菌から成菌まで全てのサイズが採れるからたまらない
感激を抑えて、夢中で撮る、採る
▲倒木の横に群生した幼菌を採る  ▲傘が開いた成菌を採る

▽黄葉の季節・・・稀に大木にナメコが生える場所は・・・
大木が倒れると、森に大きな穴が空いたような空間ができる
その真下に横たわっているブナには、幸運にも恵みの雨と風、光が降り注ぐ

だから、いち早くナメコが発生する理由であろう
幼菌が生えている場所は、倒木の横・・・
ということは、晩秋には上側に生えるだろう
▲群生その2のすぐ上の倒木に生えたナメコの成菌
傘が開いたばかりの旬の成菌
ザルを使って採取すると、効率が良く、写真を撮るにも美しい

傘裏が白く、実に美しい
しかし、いつもより生え方がまばらだった
この倒木は、晩秋になれば、大発生するに違いない
▲ブナの大木の横に生えた幼菌 ▲顔を出し始めたムキタケ幼菌

群生その2より上の尾根は、傾斜がきつくなる
急傾斜になると、風倒木は極端に少なくなる
それは雪崩で谷底に突き落とされるからだろう

横にトラバースし、水場の小沢に下りて昼食・・・
この山のピークの付け根に向かって、横に巻きながら進む
▲ ブナの幹に群生したブナハリタケ ▲ 立ち枯れ木に着生した巨大腐れヌケオチ(エゾハリタケ)

冬、猟師が半腐れになって落ちてきたものを利用したことから「ヌケオチ」と呼ばれている
ブナハリタケと同科のキノコで、ブナの立枯木の上部に発生する
旬のヌケオチは、長い棒で突いて落とす

料理・・・塩漬けにした後、塩抜きしてから味噌漬けで食べる
▲ ムキタケ
例年なら、ナメコよりムキタケの収穫量が多いのが通例である
しかし、今年はムキタケが極めて少なく、ナメコに特化している
ムキタケのピークは、晩秋になりそうな気がする  
▲ブナシメジ ▲マスタケ
▲細い倒木に生えた幼菌
傘の大きさ、色艶ともに美しい旬のナメコ
▲傘が開いた成菌・・・平らに開くと、旬を過ぎつつある証
▲黄葉のナメコは、埋もれ木、細い枝木に良く生える ▲根が奇妙な形をした奇形ブナ

期待した山のピークの付け根部分に倒れたブナに近づくと・・・
まだマメがまばらにしか生えていなかった
この割れた大木も、晩秋には大発生するだろう
ナメコの群生その3
▲旬の幼菌群生
ブナの大木に生えた天然ナメコの群生は、一際美しく、絵になる被写体だ
群生その3は、昨年の晩秋に大収穫した重要なキノコ木

最初は一本の大木だったが、もう一つの大木が重なって倒れている
だからピークには、ナメコの大群落を形成する
この一帯で、荷は極端に重くなる
黄葉の季節は、大木の横や下側の倒木に群生している
晩秋になれば、上側に大発生するに違いない
晩秋のナメコに期待が膨らむ好ポイントである
▲早くも下側は腐っていた ▲倒木の上側にあったマメ ▲湿っぽい横と下側に生えた幼菌

ナメコの群生その4
▲枝木を埋め尽くすように生えたナメコの大群落
細い枝木は、ナメコがいち早く出やすい条件を備えているのだろう
傘が開き始めた饅頭型で、傘裏、茎ともに真っ白で極上品
直径30cmのザルを取り出し採取・・・やっぱ天然ナメコは、姿・形・色艶ともに美しい
▲草木に隠れていた倒木にナメコが・・・ ▲サワモダシ
▲黄色っぽい乾燥サワモダシ
▲テン場全景
まだ黄葉初期だが、時折、谷に落ち葉がヒラヒラと舞い落ちる
清流に落ちて流され、やがて淀みに堆積してゆく
岩陰に隠れていた岩魚は、時折、淀みに姿を現し悠然と泳いでいる

暇なアッちゃんは、それを日暮し眺めて面白かったという
産卵のピークは、谷に落ち葉が降り積もった晩秋だろう
岩魚のペアは、外敵が来ると、堆積した落ち葉の下にスーッと隠れる

雪が降れば、山は沈黙の世界と化す
卵から孵化した稚魚を襲う外敵も少なく、小沢の流れは渇水で流される危険も少ない
産卵を終えた岩魚のペアは、力尽きて流れ下り、本流の深い淵の底に潜む

長く厳しい雪国の山・・・食べ物はほとんどないに等しい
ジッと動かず仮死状態で半年近くも飢えをしのぎ、春の訪れを信じてひたすら待ち続ける
自然のサイクルに順応した岩魚の巧みな生態・・・

厳しい自然の変化に順応的に生きる術は、野生の生き物たちには到底かなわない
人間も、そろそろ自然に順応的に生きる生き物たちをお手本に、真摯に学ぶ必要があるのではないか・・・
原始庭園を借景に熱いコーヒーを飲みながら、そんなたわいもない事を考えていた
▲今晩の食材「き・の・こ」
ナメコ大とサワモダシは、キノコ鍋へ
ナメコの幼菌は、大根おろし和え用
右上の冷凍保存マイタケは、お吸い物用に調理
▲雑きのこ鍋・・・芋の子、牛肉、糸コン、ナメコ、サワモダシ、ネギ ▲マイタケのお吸い物・・・マイタケ、水耕栽培のミツパ
▲ナメコの大根おろしあえ ▲なぜか「カツオ」の刺身・・・これが以外に美味く完売 ▲野菜サラダ
満月が暗闇の谷を照らす夜・・・
赤々と燃え盛る焚き火の傍らで、山の幸を肴に宴会を楽しむ
こんな知られざる「人生の楽園」を知ってしまったら、誰だって病み付きになるだろう
(つづく・・・その2)

雑きのこ1 雑きのこ2 ナラタケ3 ナメコ4-1 ナメコ4-2 ナメコ5-1 ナメコ5-2 ナメコ6 山釣り紀行TOP

inserted by FC2 system